「雨漏り、立退き必要、使用貸借など、“訳あり”な要素を抱えた物件は売れないのでは?」と思っていませんか?しかし実際には、こうした物件は投資家の興味を惹きやすい一面があります。本記事では、不動産鑑定士・宅地建物取引士の視点から、「なぜ訳あり物件が投資家に好まれるのか」を深掘りし、立退きや相続税対策をセットで考えることで高値を狙う秘訣を解説します。
訳あり物件が投資家に好まれる理由
通常なら敬遠されがちな“訳あり物件”を、投資家があえて狙うのは以下のような背景があります。
1. 安く仕入れて高利回りを目指せる
雨漏りや立退きが必要などのハードルがある分、市場価格が下がりやすいと見込まれています。投資家はそれを逆手に取り、安く買い、リフォームや法的手続きを行って付加価値を高め、高い利回りや転売益を狙います。
2. 競合が少ない
多くの一般ユーザーは“訳あり”というだけで手を引いてしまいます。結果、投資家にとってはライバルが少ない市場となり、好条件で仕入れやすいのです。
3. トラブル解決ノウハウを持っている
プロの投資家や再生事業者は、立退き交渉や雨漏りリフォームなどの経験・ノウハウを持っており、素人には難しい問題を効率的に片づけられます。その分、高い収益を得られるので、あえて訳ありを狙う人がいるわけです。
立退き対策:投資家との共同解決も検討
賃貸中や不法占拠状態など、立退きが必要な物件を売却したい場合、以下の方法で投資家と協力するパターンも考えられます。
1. 売主が立退きを完了させてから売る
買い手としてはリスクゼロの状態を好むため、弁護士などを介して売主が先に立退き交渉を済ませると価格交渉で優位に立ちやすくなります。ただし時間と補償費用がかかる点に注意が必要です。
2. 立退きリスクを投資家に譲る形で売る
「立退き交渉は買い手が担当し、その分安く買う」という形式の取引もあります。投資家としてはリスクを引き受ける代わりに安く仕入れるわけですが、売主としても短期決着で現金化できるメリットがあります。
3. エスクロー方式や条件付き契約
立退きが完了したら決済するという条件付き契約を結ぶ手も。投資家が仲介してエスクロー(第三者預託)を利用し、立退きの進捗に応じて支払いが行われる仕組みを採れば、トラブルリスクを軽減できます。
相続税対策:訳あり要素を活かす方法
雨漏りや立退きが必要な状態などは、物件の市場価値を下げる要因にもなり得ますが、それは相続税評価の減額理由として活かせる可能性があります。以下に例を示します。
1. “流動性が低い”ことを不動産鑑定士の評価で証明
立退きリスクや老朽化がある物件は、通常物件より流動性が低く売りづらい傾向にあります。不動産鑑定士の報告書でその事実を示せば、税務署に「評価を下げる要因」として認めてもらえる可能性があります。
2. 賃貸借契約で借家建付地評価を利用
無償貸与(使用貸借)から賃貸借に移行すると、「所有者が自由に利用できない土地」として借家建付地評価が適用され、相続税の課税額が下がる場合があります。
3. 賃貸物件化+修繕費の経費で所得圧縮
相続発生後に雨漏り修繕などを実施して賃貸に転用し、その修繕費を経費として差し引けば、賃貸所得が圧縮され所得税や住民税が減る効果が期待できます。売却前に一時的に賃貸化してメリットを活用するケースも。
売り出しのコツ:投資家心理を理解する
訳あり物件を投資家に高値で売るには、買い手が求める情報や安心材料を用意することが大事です。
1. マイナス点を正確に開示
雨漏りや立退き問題などは告知義務がありますが、投資家にとってはリスク評価の材料でもあります。隠そうとせず、現状をオープンに示し、費用試算や工事見積もりを用意すると好印象を与えられます。
2. 不動産鑑定士の見解を活用
現状の価値、修繕後の価値、賃貸実績などを鑑定評価としてまとめれば、投資家は収支計画を立てやすくなります。売主としても適正価格を維持しやすいでしょう。
3. 複数の不動産会社・投資家にアピール
再開発専門の投資家、DIY愛好家向け仲介会社など、複数のプレーヤーに情報を広く流すことで競合が生まれ、結果的に高値での売却が実現しやすくなります。
まとめ
一見マイナス要素ばかりの“訳あり物件”でも、投資家の需要を捉え、立退き問題や相続税対策をセットで考えれば、高値での売却が可能になるケースは少なくありません。以下のポイントを押さえて、実践してみてください。
- 投資家に人気の理由:安く仕入れ、修繕・リノベで付加価値を狙う
- 立退き交渉の手法:弁護士や補償プラン、合意書で円満解決
- 相続税対策:減額要因(雨漏り、老朽化、立退きリスク)を鑑定士で証明
- 使用貸借から賃貸へ移行し、借家建付地評価&経費計上で節税
- マイナスを隠さず詳細に提示することで、投資家にとって魅力的な情報になる
訳あり物件のマイナス要素は、見方を変えれば買い手(投資家)にとってのチャンス。正しい交渉や手続きを踏めば、想像以上の価格や利回りを提示されることもあります。ぜひ専門家と連携しながら最適な解決策を見つけてください。
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