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2025年1月26日

私道と公道の違いとは?私道に面する不動産取引の注意点を徹底解説【専門家監修】

不動産を購入・売却する際に、物件が面する道路が「公道」なのか「私道」なのかをしっかり把握しておくことは非常に重要です。公道と私道では、建築可能な範囲や再建築可否、さらには維持管理の責任範囲に大きな違いが生じるからです。特に私道に面した不動産を購入する場合、接道義務や管理費用、通行承諾などの問題が複雑に絡み合い、後々トラブルに発展することも珍しくありません。

本記事では、不動産鑑定士・宅地建物取引士の専門的な視点から「私道と公道の違い」を初心者向けにわかりやすく解説し、私道に面した不動産取引で知っておきたい注意点やリスク、対処法などを詳しくまとめました。これから不動産を売買、あるいは投資・相続を考えている方はもちろん、不動産に関する知識を深めたい方にも役立つ内容です。ぜひ最後までご覧ください。

1. 公道と私道の基礎知識

1-1. 公道とは何か

「公道」とは、国や地方公共団体が管理・維持している道路を指します。一般的には公道は公共の利用を目的として整備されているため、誰もが通行できる権利を持っており、道路法や市町村の条例などの規定に則って管理されています。具体的な例としては、国道・県道・市町村道といった名称で分類されることが多いです。

公道はインフラ(上下水道、電気、ガスなど)の敷設状況も整っていることが多く、車両の通行や建物の建築に関する基準が公的に定められているため、安心して利用できるという利点があります。維持管理の責任も国や自治体が負うケースがほとんどのため、一般の所有者が費用を負担することは基本的にありません。

1-2. 私道とは何か

一方で「私道」は、個人や法人など民間の所有者が所有・管理している道路です。見た目は舗装されていても、公道と同様に常時利用されている道路であっても、あくまで所有者は国や自治体ではなく私有の立場にあります。たとえば、住宅街の中で一見すると公共の道路のように見える道路でも、その土地の所有権を個人や管理組合が持っていれば「私道」という扱いになります。

私道は自治体の管轄ではないため、公共の道路法や地方自治体の条例ではなく、民法などの私的な法律関係にもとづいて管理されることが多いです。そのため、維持管理費修繕費通行権などが複雑になりがちで、しっかりと理解しておかないと思わぬトラブルに発展する可能性があります。

1-3. 公道・私道と建築基準法との関係

日本では、建物を建築する際に「接道義務」が建築基準法で定められています。一般的には「幅員4m以上の道路に2m以上接していなければならない」という規定があり、この「道路」には建築基準法上の道路(法42条に基づくもの)として認められる必要があります。

公道は原則として幅員4m以上で認定されているケースが多いため、接道義務を満たすのは比較的容易です。一方、私道であっても建築基準法上の道路として認定されている場合(位置指定道路など)もありますが、認定されていない私道だと、事実上建物を新築・再建築できない可能性もあります。そのため、不動産取引の場面では、公道か私道かだけでなく、その私道が法的にどのように扱われているのかを確認することがとても大切です。

2. 私道に面する不動産の特徴とリスク

2-1. 道路管理費や補修費の負担

私道の大きな特徴は、管理や補修、清掃などの費用負担が発生する点です。公道であれば自治体が大半を負担し、地域住民は税金を支払う形で間接的に維持管理を行います。しかし私道の場合は、その所有者や使用者(私道持分を持つ人など)が費用や責任を負うケースが一般的です。

たとえば、私道が老朽化して舗装をやり直す必要があるとき、私道の所有者持分を持つ複数人で補修費を出し合わなければならない可能性があります。また、私道に面する住宅が増えてくると、通行者の増加により補修サイクルが早まることも考えられ、予想外の出費となるケースもあります。

2-2. 通行権や通行承諾の問題

私道を通らないと公道へ出られない場合、「通行権」の確保が非常に重要です。他人が所有する私道を利用するには、原則として地権者の承諾が必要です。口頭で了承を得ているケースもありますが、正式な書面(通行承諾書など)を交わしていないと、将来的に通行料や補修費の負担をめぐるトラブルが発生しやすくなります。

また、私道が法42条2項や法42条1項5号道路などの「2項道路」「位置指定道路」に該当している場合は、建築確認再建築を行う上で必要な通行確保を認められていることもありますが、それでも通行承諾の締結持分の取得が求められる場合もあります。特に売買の際には、私道部分の持分があるかどうかをしっかり調べるのが必須です。

2-3. 再建築不可となるリスク

私道に面する不動産の中には、「再建築不可物件」として扱われるものがあります。これは先述のように、建築基準法上の道路として認定されていない私道にしか接していない場合などで、法的に再建築が許可されないケースが該当します。

再建築不可物件は市場価値が低く、金融機関の融資審査も厳しくなるため、流通性担保価値が著しく下がります。将来的に建物を建て替えたい資産価値を重視したいと考える場合には、注意が必要です。

3. 私道付き不動産を買う前に確認すべきポイント

3-1. 物件資料や重要事項説明でのチェック

不動産売買において、仲介会社から交付される「重要事項説明書」や「物件資料」には、接道状況道路の種類(公道or私道)が明記されることが基本です。特に私道の場合、「私道持分の有無」や「私道部分の権利関係」がどのようになっているのかをしっかりと確認しましょう。もし書類上で不明確であったり、説明が曖昧である場合は、仲介業者や売主に詳細を問いただす必要があります。

さらに、自治体の建築指導課や道路管理課で、私道の管理者や法的地位建築基準法上の道路認定に関する情報を確認することもおすすめです。地役権の設定通行承諾に関する公的資料が残っている場合、後々の紛争リスクを下げる上で大きなメリットとなります。

3-2. 私道持分や通行承諾の状況を把握

私道に面している不動産を購入する際、私道部分の所有権や持分を自分が取得できるかどうかが重要なポイントとなります。持分があれば、将来的に道路補修や通行承諾を含む管理に積極的に関与できるメリットがある一方、補修費用管理費用を負担する義務も生じることになります。

また、持分を持っていなくても、通行承諾書などの書面によって自分の通行権が保全されているか確認が大切です。もし承諾が曖昧で、将来的に撤回される恐れがある場合は、安定的に利用できない物件となり、資産価値にも影響を及ぼすでしょう。

3-3. 再建築の可否と建築条件

私道に面している不動産を購入する目的が、住居用なのか、投資用なのか、将来の建て替えを想定しているのか――いずれの場合でも、「再建築が可能かどうか」は慎重に確認しなければなりません。特に「再建築不可物件」の場合は、ローンが組めない買い手が付きにくいなどのデメリットが大きいため、投資価値将来的な資産価値を考える上で大きなマイナスポイントとなります。

また、再建築自体は可能でも、セットバック義務(道路幅を確保するため、道路境界線から一定部分を後退させる)などにより、有効な敷地面積が減少する場合があります。建築できる建物の規模や形状に制限が生じる可能性があるため、設計段階での確認も必須です。

4. 私道がもたらすメリットとデメリット

4-1. 私道物件のメリット

私道に面している不動産はリスクばかりが注目されがちですが、メリットもいくつか存在します。

  • 交通量が少なく静かな住環境:公道に比べて車の通行が少ないため、小さなお子さまやペットがいる家庭には安心できる環境となる。
  • 価格が割安:再建築不可などのリスク要素がある場合、相場より割安で手に入ることがある。投資リスクはあるが、利回りを優先する購入者にとっては狙い目となるケースも。
  • 近隣住民とのコミュニティ形成:共有の私道を持つことで、地域のコミュニケーションが活性化する場合もある。小規模の分譲地などでは、私道を管理する組合を結成し、良好な近隣関係を築きやすい。

4-2. 私道物件のデメリット

一方で、私道物件には以下のようなデメリットがあります。

  • 維持管理費がかかる:舗装や排水設備の老朽化に伴い、補修費を住民が負担し合う必要がある。
  • 通行トラブル:地権者が変わる、または関係悪化により通行を制限されるリスクがある。通行承諾が不十分な場合は法的紛争に発展することも。
  • 融資や売却が難しい:再建築不可や法的未整備の私道に面している場合、金融機関が担保評価を低く見積もるため、融資条件が厳しくなる。
  • 自治体のサービスが届きにくい場合も:ゴミ収集車が入れない、除雪サービスがないなど、住環境面で不便が生じることがある。

これらの点を総合的に考慮し、自分のライフスタイルや目的に合った選択をすることが大切です。

5. 私道に面する物件の取引手順と注意点

5-1. 専門家(宅地建物取引士や弁護士)のサポート

私道に面する物件を購入する場合は、専門家のサポートを受けることが非常に効果的です。まずは、不動産仲介業者や宅地建物取引士が、道路種別再建築の可否私道の持分などを調べてくれます。必要に応じて、弁護士司法書士不動産鑑定士と連携し、権利関係やリスクの程度を明確化すると安心です。

特に、通行承諾地役権の設定をめぐる法的書類が必要な場合は、弁護士の助言があるとスムーズに手続きを進められます。書面が不十分な状態で購入契約を結ぶと、将来的に大きな不都合が生じる可能性が高まるため、早めの段階で専門家に相談しましょう。

5-2. 契約前の現地調査と近隣へのヒアリング

私道の状況を把握するためには、現地調査が不可欠です。紙の資料だけではわからない、道路の幅員舗装状況排水状態既存の境界標などをしっかり確認しましょう。また、近隣住民へのヒアリングも有効です。道路管理組合自治会がある場合は、加入条件や会費、役員の選出方法など、コミュニティ運営に関する情報も押さえておきたいところです。

もし近隣との関係があまり良くない場合や、以前に通行トラブルがあったという話が出た場合には、その原因と現状を細かく確認して、今後同様の問題が起こるリスクを考慮に入れましょう。安易に「問題なさそう」と判断せず、時間をかけて情報を収集することが大切です。

5-3. ローン審査や保険の確認

私道に面する物件の購入では、ローン審査がネックになることがあります。金融機関は担保として不動産の価値を評価しますが、再建築不可通行権が不安定な私道物件は、担保評価が低く見積もられてしまうのが一般的です。ローンの借入限度額金利保証料に影響が出る可能性があります。

また、火災保険や地震保険を契約する際にも、建物の評価が低くなることがあるため、保険料補償内容が公道物件よりも不利になるケースがあります。こうした点も含め、事前に保険会社や金融機関に問い合わせるなどの準備が重要です。

6. 私道に関するトラブル事例と対処法

6-1. 通行制限やゲート設置による紛争

私道の所有者が代わったり、近隣との関係が悪化したりすると、急に通行制限をかけたりゲートチェーンを設置してしまう事例があります。これにより、車両が出入りできなくなる緊急車両が通れなくなるなどの深刻なトラブルに発展する可能性もあります。

対処法としては、まず不動産の権利書通行承諾書などで通行権の有無を確認し、話し合いで解決を図るのが第一です。もし合意に至らない場合は、弁護士を通じて法的措置(通行の妨害排除請求など)を検討する必要があります。

6-2. 補修費用の負担割合に関するトラブル

私道が損傷して補修が必要になった際、費用負担の割合がはっきり決まっておらず、近隣住民同士で対立するケースがあります。私道の持分を多く持つ人、ほとんど持たない人、それぞれの利用頻度などが絡むため、公平な負担割合を決めるのが難しいのです。

この対策としては、あらかじめ私道管理組合協定書を作成し、費用負担のルールを明文化しておくことが重要です。物件を購入する時点で、その協定内容に同意する旨を契約書に盛り込むことで、後々のトラブルを防ぎやすくなります。

6-3. 接道義務を満たさない建築の強行

私道が建築基準法上の道路として認められていないにもかかわらず、無理に建築工事を行う事例もあります。結果的に役所から違法建築として是正指導を受けたり、建物完成後に売却できないなどの大きなリスクが発生します。

私道に接する建物を新築・増改築する場合は、建築基準法42条および条例都市計画の要件に合致しているかを事前に役所へ確認することが不可欠です。認可が得られない場合は、公道への通路別の接道方法を確保するなどの手段を検討しなければなりません。

7. まとめ

不動産が面する道路が「公道」か「私道」かは、資産価値利用の自由度維持管理に大きな影響を与えます。特に私道は、管理費用通行権再建築の可否など、複雑な要素が絡み合うため、購入前の徹底した調査と専門家のアドバイスが欠かせません。

もし私道に面した不動産を購入する場合は、私道の持分通行承諾再建築の可否などを確認し、将来的に起こり得るトラブルや費用負担を見据える必要があります。マイホームとして静かな住環境を得られる一方、管理・修繕の手間や費用がかかるリスクがあるのです。長期的な視野情報収集を踏まえたうえで、自分や家族のライフスタイルに合った選択を行いましょう。

不安を感じる場合は、不動産鑑定士宅地建物取引士だけでなく、司法書士弁護士といった法務面に強い専門家へ相談すると、より安心して取引を進めやすくなるはずです。

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