令和6年度の税制改正大綱が発表され、固定資産税に関する軽減措置の適用期限が令和8年3月31日まで延長されることが正式に決定しました。これにより、既に軽減措置を受けている方や、これからその適用を検討されている方にとっては朗報といえるでしょう。固定資産税は不動産を所有している方にとって毎年必ずかかってくる税金ですので、制度の延長について正しく理解しておくことは非常に大切です。
しかし、固定資産税は算定方法や軽減措置の内容が複雑で、特に初心者の方にはハードルが高いものです。そこで今回は税理士の視点から、固定資産税の基本的な仕組みと、今回延長された軽減措置のポイントについてわかりやすく解説します。ぜひ最後までご覧いただき、今後の賢い不動産管理にお役立てください。
固定資産税とは? 基本の仕組みをおさらい
まずは固定資産税とは何か、その基本を確認しておきましょう。
固定資産税の対象となる財産
固定資産税は、毎年1月1日時点で土地や家屋などの固定資産を所有している人に課せられる税金です。不動産の所有者であれば、個人・法人を問わず納める義務が生じます。家屋の評価については、自治体が固定資産税評価額を決めるため、場所や建物の構造、築年数などによって評価額が異なります。
納税義務者と納税方法
納税義務者は、登記簿上の所有者、あるいは事実上の所有者です(未登記の場合等)。納付書は通常、市区町村から4~6月頃に発送され、年4回に分けて分割納付する方法が一般的です。口座振替などを活用すると支払いを忘れにくく、毎年の煩雑さを軽減できます。
評価替えと負担調整措置
固定資産税評価額は、3年ごとに「評価替え」という見直しが行われます。ただし、市街地や地方などによって地価水準が異なるため、急激な負担増を抑えるための負担調整措置も併せて導入されています。今回話題となっているのは、この負担調整措置などを含めた軽減措置に関する改正ポイントです。
令和6年度税制改正大綱のポイント
令和6年度の税制改正大綱において、固定資産税の軽減措置の適用期限が令和8年3月31日まで延長されることが決まりました。これは、令和5年度末で終了予定だった特例などを継続させるもので、多くの納税者にとってメリットとなります。
延長された軽減措置の内容とは
今回の改正で延長される軽減措置には、代表的なものとして以下のような項目が挙げられます。
- 住宅用地に対する特例措置
小規模住宅用地(200㎡以下)と一般住宅用地(200㎡超)に対する課税標準の特例(6分の1、3分の1) - 新築住宅に対する減額措置
新築住宅に対して一定期間、固定資産税の2分の1を減額する制度 - 耐震改修やバリアフリー改修などによる税額軽減
特に住宅用地の特例措置や新築住宅の減額措置は、多くの方に影響があるため、今回の延長は大きな安心材料といえるでしょう。
住宅用地の特例はどうなる?
住宅用地の特例は、住居として利用される土地に対して、固定資産税の課税標準を小規模住宅用地なら6分の1に、一般住宅用地なら3分の1にする制度です。この特例措置は、もともと税負担を軽減する目的で長期間維持されてきました。今回も適用期限が延長され、令和8年3月31日までの間に適用対象となった場合は、従来通りの軽減が受けられます。
この特例措置は、居住用部分の面積がどの程度あるかで判定されるケースが多いです。例えば、居住用と事業用が混在する場合には、居住用部分の比率によって特例の適用範囲が決まります。自宅兼事務所として使っている場合など、複雑な形態でも適用されることがありますので、自治体の窓口や専門家へ確認することが大切です。
新築住宅の減額措置も継続
新築住宅の固定資産税を一定期間、2分の1に減額する特例も延長の対象となりました。具体的な適用要件としては、床面積が50㎡以上280㎡以下など、法律で定められた範囲内にある住宅が対象となります。アパートやマンションなどの集合住宅でも、専有面積の合計が上記範囲を満たす場合は適用可能です。
この減額措置は、新築から3年間(認定長期優良住宅などは5年間)が基本ですが、経過措置などによりさらに延長される可能性もあります。今後、新築住宅の取得を検討している方にとっては、税負担を大きく抑えられるメリットが継続する形となります。
軽減措置の適用を受けるためのポイント
固定資産税の軽減措置は、自動的に適用される場合と、自分で申請手続きを行わなければならない場合があります。特に耐震改修やバリアフリー改修に伴う軽減措置などは、工事完了後に申請が必要となるケースが多いため注意が必要です。以下のポイントを押さえ、確実に適用を受けられるようにしましょう。
1. 自治体の窓口で確認する
固定資産税に関する軽減措置は、市区町村ごとに細かな運用が異なる場合があります。必ず自治体の税務担当部署に問い合わせ、自分のケースがどの軽減措置に該当するか、必要な手続きは何か、提出期限はいつかなどを確認しましょう。
2. 申請期限を守る
軽減措置の申請には期限があります。改修工事後、一定期間内に申請しなければ適用されない制度もあるため、工事スケジュールや引き渡し時期をよく確認しておくことが大切です。手続きが遅れると減額を受けられなくなる可能性があるので要注意です。
3. 必要書類を事前に準備
申請には、工事契約書や設計図、領収書など、さまざまな書類が必要となります。特に耐震診断や建築確認の書類など、専門的な書類が要求されるケースもあるので、あらかじめどんな書類が必要かリストアップしておくとスムーズに申請できます。
税負担の軽減を活用するメリットと留意点
固定資産税の軽減措置を上手に利用すれば、毎年の税負担を大幅に削減できる可能性があります。特に、新築住宅を取得したばかりの方や、住宅改修を計画中の方にとっては見逃せない制度でしょう。しかし、一方で以下のような注意点もあります。
メリット
- 長期的な家計負担を軽減:持ち家は取得後にも固定資産税や維持費がかかるため、軽減措置を受けることで家計への負担が楽になる。
- 改修工事へのインセンティブ:耐震化や省エネ化、バリアフリー化など、安全・快適に暮らすための改修工事を促す効果がある。
- 不動産価値の向上:改修することで建物の資産価値がアップし、将来的な売却や賃貸にもプラスに働く。
留意点
- 要件を満たさない場合は適用されない:例えば床面積や工事内容が基準を満たしていない、提出期限が過ぎてしまったなどのケースは減額を受けられない。
- 軽減期間終了後の税負担を考慮する:軽減期間が終わった途端、固定資産税が一気に上がる可能性があるため、将来設計を立てる際に注意が必要。
- 自治体によって細部が異なる:国の制度だけでなく、自治体独自の追加要件や軽減率が設けられていることもある。
まとめ
令和6年度の税制改正大綱で、固定資産税の軽減措置の適用期限が令和8年3月31日まで延長されたことは、これから住まいの取得や改修を計画している方にとって大きなメリットと言えます。住宅用地の特例や新築住宅の減額措置などは、多くの方の税負担を軽減してくれる便利な制度です。
一方で、固定資産税は定期的に見直しがされるため、その都度の制度変更を把握しておく必要があります。自治体によっては独自の軽減策を講じている場合もあるので、疑問点があれば税務担当部署や専門家に相談すると安心です。長期的な視点で住まいや資産を考え、軽減措置を活用して賢く節税していきましょう。
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