相続土地国庫帰属制度は本当に「楽な出口」なのか
相続土地国庫帰属制度は、相続した相続土地や空き家予備軍の土地を国に引き渡せる新しい仕組みとして注目されています。パンフレットだけを見ると「これで相続土地の悩みが解決する」と感じる方も少なくありません。
参考:https://www.moj.go.jp/content/001390195.pdf
しかし実務の現場で話を聞くと、「手続きが複雑すぎる」「費用が思った以上に重い」「うちのような訳あり不動産はそもそも帰属できない」といった声が多く聞かれます。制度の意義は大きい一方で、相続土地のすべてを救ってくれる万能の出口ではない、というのが冷静な評価です。
手続きのハードル──法務局相談・申請書類・現地調査
相続土地国庫帰属制度を利用するには、まず管轄の法務局への相談予約から始まり、相談結果を踏まえて承認申請書の作成、図面や境界・現況が分かる写真の準備など、多くの書類作成が必要になります。
さらに、法務局による書面審査や現地調査を経て、承認か不承認かの結果通知が届きます。書類準備だけでも相続人が自力で対応するのは容易ではなく、司法書士や行政書士に依頼すればその報酬も別途必要です。「相続した土地をただ手放したいだけなのに、ここまで手続きが大変なのか」と感じる方も多いのが実情です。
費用のハードル──審査手数料・負担金・解体や測量の追加コスト
相続土地国庫帰属制度には、土地一筆ごとに審査手数料がかかり、さらに国庫帰属が承認された場合には負担金を納付します。面積や地目によっては、数十万円単位の負担金になるケースもあります。
加えて、老朽化した空き家を解体して更地にする、境界を確定するために測量を入れる、登記を整えるといった前提作業にも費用がかかります。結果として「相続土地国庫帰属制度+事前整理コスト」の合計が、当初のイメージを大きく超えることも珍しくありません。
相続土地国庫帰属制度は、「費用を一切かけずに土地を手放せる魔法の制度」ではなく、「費用と時間をかけてでも国に引き取ってもらいたい土地」に向いた制度だと理解しておく必要があります。
最大の壁は「帰属できない土地」──本当に困っている土地ほど対象外に
相続土地国庫帰属制度のデメリットで最も見落とされがちなのが、「そもそも申請すらできない土地」がかなり多いという点です。建物が残っている土地、担保権や賃借権など他人の権利が付いた土地、他人の通路や墓地として使われている土地、境界が不明確な土地などは、「帰属できない土地」として制度の対象外になります。
実務で「本当に困っている相続土地」は、老朽化空き家付きの土地や、再建築不可、共有名義、境界トラブルを抱える土地など、いわゆる訳あり不動産であることが少なくありません。ところがこうした土地ほど相続土地国庫帰属制度の外側に置かれ、「手続きも重く、そもそも使えない制度」という印象を持たれがちです。
オーナー目線での「時間とリスク」のコスト
相続土地国庫帰属制度は、公的な制度であるがゆえに、申請から結果が出るまで一定の時間がかかります。その間も相続人は固定資産税を支払い続け、台風や地震で空き家や擁壁に被害が出れば、所有者としての責任を問われる可能性も残ります。
さらに、結果として不承認だった場合、「時間と手間と審査手数料だけが消えて、相続土地は手元に残ったまま」ということにもなりかねません。オーナーの立場から見ると、ここには見過ごせない「時間とリスクのコスト」が存在します。
株式会社SAの視点:査定一回で出口とコストを比較できる
株式会社SAは、共有名義・再建築不可・底地・老朽化空き家・違法増築の疑い・境界未確定など、相続土地国庫帰属制度では扱いにくい訳あり不動産の買取・再生を専門とする不動産会社です。
相続土地国庫帰属制度では、申請しても必ず引き取ってもらえるとは限らず、その結果が出るまで時間もかかります。一方、SAのような訳あり不動産の買取業者に相談すれば、査定一回で「いくらで、どの条件なら、いつまでに引き取れるか」という具体的な見通しが立ちます。
解体や測量、権利調整なども含めて自社や専門家ネットワークで引き受ける前提のため、オーナーが負担するコストは「相続土地国庫帰属制度+事前整理」に比べて大幅に抑えられるケースも少なくありません。「いくら手元に残るのか」「いつこの相続土地の悩みから解放されるのか」が早い段階で見えることは、費用対効果の面でも大きなメリットです。
相続土地国庫帰属制度より民間買取の方がコスパが良いケースとは
もちろん、相続土地国庫帰属制度が有効に機能するケースもあります。建物がなく、権利関係や境界が整理された相続土地であれば、公的な制度を利用して国に引き取ってもらう選択肢は十分に検討に値します。
しかし、老朽化した空き家付き、再建築不可、共有名義、境界未確定、底地・借地など、多くのリスクを抱えた訳あり不動産では、「手続きの煩雑さ」「費用負担の大きさ」「帰属できない土地の制約」の三重苦によって、相続土地国庫帰属制度は実質的に使いづらいことが多いのが実情です。
そのような相続土地では、「制度で何とかならないか」と考え続けるよりも、早い段階で訳あり不動産の買取業者に査定を依頼し、金額とスケジュールを確認したうえで出口を決める方が、トータルの費用・時間・精神的負担を見てもコスパが良い選択になる場合が少なくありません。
相続土地で悩んだら「制度」と「買取」を並べて比べてみる
相続土地国庫帰属制度は、「存在を知らないまま損をする」には惜しい制度です。一方で、「知ってさえいれば何でも解決する」という万能薬でもありません。
相続土地や空き家、山林などに悩んだら、まずは自分の土地が国庫帰属の対象になり得るかを確認しつつ、同時に訳あり不動産に強い買取業者にも査定を依頼してみることをおすすめします。制度と民間買取を並べて、手間・費用・時間・リスクを比較することで、自分と家族にとって本当にコスパの良い選択肢が見えてきます。
株式会社SAは、相続土地国庫帰属制度の利用可否を踏まえたうえで、「制度で処理すべき土地」と「買取や再生で出口をつくるべき土地」を一緒に整理し、オーナーにとって納得感のある相続土地戦略づくりをサポートしています。
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