不動産の共有持分は、複数の所有者が共同で一つの物件を所有する形態を指します。不動産の相続や共同購入などで発生しやすいこの共有持分には、特有のルールや注意点があります。
本記事では、共有持分の基本的な仕組みからメリット・デメリット、そして問題を未然に防ぐためのポイントまで解説します。
ここでは、住宅ローンごとの共有持分についてご紹介します。
共有持分の定義
住宅ローンのうち、連帯保証型は共有持分を決める必要がありません。
共有持分とは、不動産を複数の人が共同で所有する場合に、それぞれの所有者が持つ法的な割合を指します。
この割合は通常、相続や契約内容によって決まります。
たとえば、親から兄弟3人が等分で不動産を相続した場合、共有持分は各1/3となります。
共有持分の所有者は、それぞれの割合に応じて以下の権利を持ちます:
・不動産の利用権
・利益の分配権
・売却や譲渡の権利(ただし、制約がある場合も)
借主が何らかの事情で返済が滞った際には、連帯保証人に支払い義務が生じます。
共有持分が発生する典型的なケース
・相続:親族間での不動産相続時に、複数の相続人がその不動産を共有する形で所有するケース。
・共同購入:夫婦や友人同士が共同で一つの物件を購入する場合。
・投資:複数の投資家が共同で不動産を購入し、収益を分け合う場合。
共有持分のメリット
・初期費用の軽減:
複数人で費用を分担するため、一人で購入するよりも経済的な負担が軽減されます。
たとえば夫のローン契約では妻が連帯保証人となります。
その際、妻のローン契約の連帯保証人は夫です。
ペアローンも夫婦ともども安定した収入が見込める人たちに向いています。
ローン契約者のそれぞれが団体信用生命保険に加入できる点もメリットです。
ただし、団体信用生命保険はいずれか一方のローン契約に適用されます。
債務者A:団体信用生命保険の適用
⇒債務者Aのローン契約の支払いの免除
債務者B:団体信用生命保険は適用されない
⇒債務者Bのローン契約の支払いは継続
ペアローンによる共有持分の不動産の売却方法
ペアローンにて購入した不動産の売却は、共有持分の取り扱いとペアローンの完済がカギとなります。
・夫婦(または親子)で同意の上で売却
・自身の共有持分をパートナーに売却
・不動産会社の買取を利用する
夫婦(または親子)で同意の上で売却
ペアローンで購入した不動産は、夫婦または親子のそれぞれの共有持分が登記されています。
売却の際には、必ずパートナー(名義人)の同意を得ることが必須項目です。
夫婦(または親子)で同意の上で売却した場合には、周辺相場との兼ね合いにもよりますが、相応の売却価格が期待できます。
売却金額でペアローンを完済できるか?否か?をチェックした上で、売却に臨むのがおすすめです。
ペアローンが完済できないと、抵当権抹消登記が完了しないためです。
とはいえ、ペアローンで購入した不動産の場合、パートナーのどちらかが居住の継続を希望することが想定されます。
新たなマイホームを購入するなど、住み替えを検討している方に向いているでしょう。
自身の共有持分をパートナーに売却
パートナーがまとまった資金を用意できるようであれば、自身の共有持分をパートナーに売却するやり方もあります。
パートナーが単独で不動産を所有できる点がメリットです。
不動産会社の買取を利用する
不動産会社によっては、共有持分の不動産を買取するサービスを提供しています。
不動産会社に直接購入してもらえるため、仲介手数料が発生しません。
仲介手数料(売買)は以下の計算式にて算出されます。
ただし、不動産会社の買取の場合には、周辺の相場よりも下回る査定金額が提示されることがほとんどです。
特に共有持分などは訳アリ不動産の扱いとなるため、ペアローンの完済が可能な金額が提示されるかどうかはわかりません。
買取は早期の現金化を希望する方に向いています。
共有持分のパートナーには、必ず買取の件を伝えておきましょう。
まとめ
ここまで、ペアローンを含む住宅ローンごとの共有持分について紹介してきました。
ペアローンや連帯債務型の商品は、より多くの融資が受けられる点がメリットです。
返済が長期に渡るため、慎重に計画を立てることをおすすめします。