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2024年5月4日

共有持分の売却に臨む前に検討したい2つの選択肢

 

共有持分の不動産は購入の際に複数の出資者が存在する場合や、相続時に共有分割を選択した際に発生します。
共有持分のみを売却することは理論的には可能ですが、活用の際にほかの共有者からの同意を得ることが大前提となるため、売却先を見つけるのが難しいのは確かです。

 

ここでは、共有持分の売却に臨む前に検討したい2つの選択肢をご紹介します。

 

 

共有持分の不動産が発生する2つの理由

共有持分の不動産が発生する理由として、次の2つがあげられます。

 

・不動産の購入時に複数の出資者が存在する
・相続時に共有分割を選択

 

不動産の購入時に複数の出資者が存在する

夫婦や親子などで戸建住宅や分譲マンションを購入する際、それぞれの出資額に応じた共有持分が設定されます。

 

名義人 出資額 共有持分
頭金:1,000万円
ローン:2,000万円
4分の3
頭金:1,000万円 4分の1

※住宅ローン「連帯保証型」

 

名義人 年収 共有持分
夫(債務者) 600万円 10分の6
妻(連帯債務者) 400万円 10分の4

※住宅ローン「連帯債務型」

 

名義人 出資額 共有持分
頭金:1,000万円
ローン:3,000万円
7分の4
頭金:1,000万円
ローン:2,000万円
7分の3

※住宅ローン「ペアローン」

 

各々の出資額と、どの商品を選ぶか?で、共有持分が異なることがわかります。
共有持分を避けたいのであれば、単独所有になるようなローン設定をするのがおすすめです。

 

相続時に共有分割を選択

共有持分の発生は、被相続人が所有していた不動産の相続時に「共有分割」を選択したケースも該当します。

 

分割方法 内容 特徴
現物分割 相続人の数に応じた分割
※相続人2人⇒2分の1
※相続人3人⇒3分の1
・相続人全員に公平な分割が可能
・相続人ごとの相続税の負担が軽減される
・測量費用などが生じる可能性
代償分割 相続人のうち1名が土地の所有者になる
他の相続人には現金にて分割
・相続人全員に公平な分割が可能
・土地をそのままの形で残すことができる
・不動産評価額を算定する必要がある
換価分割 土地の売却後に得た売却金額を相続人全員で均等に分ける ・相続人全員に公平な現金での分割が可能
・売却の際に所有権移転登記が必須となる
・売却金額によっては譲渡所得税の納付も
共有分割 相続人の全員で土地を共有する
※特定の所有者を決定しない
・土地をそのままの形で残すことができる
・相続人全員が承諾しないと売却できない

 

共有分割での共有持分は、被相続人とのつながりで設定されるのが基本です。

 

相続人 共有持分
被相続人の配偶者 2分の1
被相続人の子1 4分の1
被相続人の子2 4分の1

 

共有持分のみを売却することは理論的には可能

共有持分のみを売却することは、理論的には可能です。
とはいえ、実際には共有持分のみの購入者は限定されてしまいます。
ほかの共有者(名義人)、もしくは不動産会社の買取です。

 

共有持分のみの売却が難しい理由として、活用の際にほかの共有者からの同意を得ることが前提となることがあげられます。

 

活用方法 活用するための条件
共有持分のアパートを賃貸物件にする 過半数の共有者からの同意
共有持分のアパートを売却する 共有者全員の同意
共有持分の土地部分への建築 共有者全員の同意
共有持分の建物の建て替え 共有者全員の同意
共有持分の建物の増改築 共有者全員の同意

 

特に共有者全員の同意が必要な活用方法の場合、たった一人でも反対者がいた時点で実現不可能です。

 

そのため、共有持分のみの売却は、不動産会社の買取が現実的な方法として浮上してきます。
特に早期の現金化を図りたい方にとって、共有持分のみの買取は魅力的に映るかもしれません。

 

とはいえ、共有持分のみの買取は、周辺相場の価格よりも割安となる傾向があります。
中には、ほかの共有者との関係性が悪化するケースも。
将来起こり得るであろうトラブルを回避するためにも、共有持分の売却の際には、ほかの共有者への相談や連絡が必要不可欠です。

 

共有持分の売却に臨む前に検討したい2つの選択肢

共有持分の売却に臨む前には、以下の2つの選択肢を検討することをおすすめします。

 

・ほかの共有者への共有持分の売却
・共有物分割請求

 

ほかの共有者への共有持分の売却

ほかの共有者への共有持分の売却は、ご自身の共有持分割合を増やしたい共有者がいる際に有効な方法です。
共有持分への金融機関からの融資(住宅ローンなど)は困難なため、ある程度まとまった現金を用意できることが条件となります。

 

共有持分の売却価格については、周辺相場と同程度に設定するのがコツです。
固定資産税評価額や相続税路線価などから算定するやり方もありますが、不動産鑑定士に査定を依頼するのも良いかもしれません。

 

ただし無償での譲渡など、あまりにも周辺相場とかけ離れた価格設定の場合、贈与税の対象となる可能性があります。
ご注意ください。

 

基礎控除後の課税価格 贈与税率 控除額
200万円以下 10%  
300万円以下 15% 10万円
400万円以下 20% 25万円
600万円以下 30% 65万円
1,000万円以下 40% 125万円
1,500万円以下 45% 175万円
3,000万円以下 50% 250万円
3,000万円超 55% 400万円

※一般財産贈与用(一般税率)

 

共有物分割請求

共有物分割請求にて、共有持分を解消する方法もあります。
裁判所を通じた手続きとなりますが、全面的価格賠償が認められた際には、共有持分の現金化が実現可能です。

 

分割方法 内容
現物分割 共有物の不動産(土地)を共有持分を基に分筆後、それぞれの共有者の単独所有とする
代金分割

共有物の売却および競売後に売却金額を分割

全面的価格賠償 共有者のうち1名の単独所有とする代わりに、ほかの共有者にはそれぞれの共有持分に応じた金額を支払う

 

まとめ

ここまで、共有持分の売却に臨む前に検討したい2つの選択肢を紹介してきました。
共有持分の売却は、ほかの共有者との話し合いがカギとなります。
当記事が、できるだけ平和的な解決に導くためのヒントになれば幸いです。

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