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トラブル解決 共有持分

2025年2月5日

不動産共有持分の概要や権利・制限、共有の解消方法

不動産を所有する形態にはさまざまな種類がありますが、その中でも「共有持分(きょうゆうもちぶん)」という言葉を耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。共有持分とは、一つの不動産を複数人で共有する際に、それぞれの所有権が割合で表されている状態のことを指します。相続や夫婦共同名義、親子間での不動産取得など、さまざまなケースで共有が生まれますが、その仕組みや制限、解消方法をよく理解しておかないと、将来的にトラブルや手続きの複雑化を招いてしまうかもしれません。

そこで本記事では、不動産鑑定士・宅地建物取引士の立場から、共有持分に関する基本的な概要、権利・制限、解消方法について初心者にもわかりやすく解説いたします。専門用語を極力避け、平易な言葉でまとめているので、これから不動産を相続する方、複数人で不動産を持つことを検討されている方、すでに共有名義で不動産を所有している方は、ぜひ最後までお読みください。知識を身につけておくことで、将来のリスクを減らし、スムーズな不動産管理や売却を実現しやすくなるはずです。

共有持分とは何か?

共有持分とは、一つの不動産を複数人で所有しているときに「誰がどのくらいの割合で所有しているか」を示すものです。例えば、兄弟3人が実家の土地をそれぞれ3分の1ずつ相続した場合、その土地は共有状態となり、兄弟それぞれが3分の1ずつの持分を保有していることになります。

このように、共有持分はあくまでも不動産全体に対しての割合的な権利です。自分の持分がどこにあるのか(たとえば「建物の2階部分だけが自分のもの」など)を物理的に分けて示しているわけではない点がポイントです。そのため、共有者全員がその不動産全体を一緒に管理・使用している状態と考えられます。

持分割合は「1/2」「1/3」「2/7」など、さまざまなパターンがあります。これらは相続分や出資額などによって決定し、登記簿(不動産登記簿)に記載されます。したがって、共有持分を正しく理解しておかないと、将来的な不動産の利用方法や売却、名義変更などで混乱が生じる可能性があります。

共有持分の背景:どのように生まれるのか

共有持分が生まれる原因にはいくつかのパターンがあります。以下に代表的なケースを挙げてみましょう。

1. 相続による共有

もっとも多いケースが相続です。親が所有していた土地や建物などを、子どもや親族が相続することで、複数人が同じ不動産を持つことになります。遺産分割協議の結果、物理的に分割できず、やむを得ず共有状態にする場合も少なくありません。

2. 夫婦や親子での共同購入

マイホームを夫婦共同名義で購入する、親子で頭金を出し合って物件を購入するなどのケースです。購入時点で持分割合を決めて共有状態とする場合があります。共働き夫婦で住宅ローンを一緒に返済する場合にも適用されることが多いでしょう。

3. 投資目的での共同出資

不動産投資を共同で行う際、複数人でお金を出し合い、ひとつの物件を購入することで共有が生まれます。割合に応じて賃貸収入や売却益を分配する仕組みですが、共有者同士の意思疎通が欠かせません。

共有持分における権利と制限

共有持分は、それぞれが不動産全体に対して割合的な所有権を持つ状態です。では、このとき各共有者がどのような権利を行使できるのか、そしてどのような制限がかかるのかを確認していきましょう。

1. 自由に使用できる権利

共有者は、原則として不動産全体を利用することができます。例えば共有の住宅に居住する、共有の土地を利用するなどは、持分割合に関わらず行うことが可能です。ただし、他の共有者の使用を妨げるような利用方法をしたり、不公平に専有したりすることはできません。共用スペースを独占してしまうと、他の共有者から苦情が出る可能性が高いので、注意が必要です。

2. 持分を譲渡する自由

共有者は、自分が持っている持分そのものを第三者に売却(譲渡)することができます。つまり、共有者Aが持つ1/2の持分を、全く関係のない第三者Cに売却することも理論上は可能です。ただし、現実的には他の共有者がいるため、円満に進まないことも多々あります。共有持分を買いたいと考える人が限られることもあり、希望の価格での売却が難しいケースもあるため、注意が必要です。

3. 共有者全員の同意が必要な行為

共有不動産を大きく改築したり、賃貸に出すなど「保存・管理・処分」に関わる行為は、内容によって共有者全員または過半数の同意が必要となります。特に不動産そのものを売却する、抵当権を設定するといった重要な行為には、全員の合意が求められるため、一人でも反対する人がいれば進められません。

4. 共有者間の不公平感が生じやすい

共有状態では、不動産の利用方法や費用負担(固定資産税、維持管理費など)について、共有者同士の話し合いが必須です。意見の食い違いがある場合、合意を得るのに時間や労力がかかりやすいというデメリットがあります。また、共有者の一人が実質的に不動産を使っていないのに、コストの一部を負担しなければならないなど、不公平感が生まれるリスクもあります。

共有状態を解消する方法

共有不動産は、将来的にトラブルや意思決定の遅れを招きやすい側面があります。そのため、早めに共有状態を解消し、シンプルな所有形態にしておくことが望ましい場合も多いです。ここでは、代表的な解消方法を解説します。

1. 単独所有にする(持分の買い取り・贈与など)

共有者のうち一人が他の共有者の持分を買い取る、または贈与を受けることで、名義を一本化する方法です。例えば、兄弟共有で相続した家を、実際に住んでいる長男が他の兄弟の持分を買い取り、単独名義にするパターンが代表的です。買い取りには資金が必要となりますが、不動産をシンプルな形で所有できるメリットがあります。

また、家族間であれば贈与という形を取る場合もあります。ただし、贈与税が課税される可能性があるため、税務上の注意点をしっかり確認することが重要です。

2. 不動産全体を売却して現金化する

共有者全員の合意が得られる場合、不動産そのものを売却して現金化し、その売却代金を持分割合に応じて分配する方法です。共有状態が解消されるため、後々のトラブルを回避しやすくなるメリットがあります。ただし、全員が同意しないと売却が成立しないため、合意形成が難しいこともあります。

3. 物理的に分割する(分筆や区分など)

土地の場合は、広さによっては分筆(ぶんぴつ)して物理的に分割するという選択肢もあります。例えば、100坪の土地を50坪ずつに分けて登記をやり直すなど。ただし、建物がある場合や、最低敷地面積の制限がある場合などは分割が難しいことも多いため、事前に自治体の条例や建築基準法などをチェックする必要があります。

建物の場合は、区分所有(いわゆるマンションのように専有部分を分ける形態)として分割できるかを検討します。しかし、既存の一戸建てを簡単に区分所有にすることは難しく、構造上の要件などが厳しく定められていますので、一般的にはあまり利用されない方法です。

4. 共有物分割請求訴訟

共有者間の話し合いがまとまらない場合には、裁判所に「共有物分割請求訴訟」を提起し、強制的に分割や競売を進める方法もあります。ただし、裁判となると時間と費用がかかるため、できるだけ当事者同士の合意で解決する方が望ましいでしょう。訴訟で競売となった場合、市場価格よりも低い価格で落札されるリスクも高くなります。

共有持分に関するよくある疑問

ここでは、共有持分や共有名義に関して、初心者の方が特に気になりやすいポイントをQ&A形式でまとめます。疑問を整理することで、より正しい判断や対策を取れるようになるでしょう。

Q1. 自分の持分を勝手に売却していいの?

理論的には、自分の持分を第三者に売却することは可能です。しかし、実務的には買い手が見つかりにくいことが多いため、価格が極端に下がる可能性があります。また、他の共有者との関係が悪化しやすい点にも注意が必要です。売却を検討する場合は、まず他の共有者としっかり話し合うことをおすすめします。

Q2. 共有者の一人が行方不明の場合はどうすればいい?

共有者の一人が行方不明の場合、その方の同意を得られないため、売却や大きな改築などが滞る可能性があります。最終的には家庭裁判所に「不在者財産管理人」の選任を申し立てるなど、法的手段を活用することになりますが、手間と時間、費用がかかります。行方不明になるリスクを考慮し、事前に対策をしておくことが重要です。

Q3. 共有持分を解消しないで放置するとどうなる?

共有状態のまま長期間放置していると、相続が繰り返され、さらに多くの共有者が増えてしまう恐れがあります。共有者が増えるほど合意形成が難しくなり、売却や管理、修繕などが進まないという問題が深刻化する場合があります。後々大きなトラブルを招かないためにも、早めの解消やルール作りが賢明です。

Q4. 共有持分だけ担保にしてローンを組める?

理論上は、共有持分だけでも担保にすることは可能です。しかし、多くの金融機関は共有持分のみを担保にした融資には消極的です。買い手や競売時の価値が不透明なうえ、他の共有者との関係などもリスク要因になるため、融資を受けられるケースはあまり多くありません。やはり不動産全体を単独所有しているほうが融資の面でもメリットがあります。

共有持分を活用する上での注意点

共有持分を活用して不動産を管理・運用していく場合には、以下のポイントを抑えておくとトラブルのリスクが下がります。

1. 共有者同士のコミュニケーションを定期的に図る

共有者が複数名いる場合、定期的なミーティングや連絡手段(メールやLINEなど)を活用して、状況や要望を共有しておきましょう。管理費や修繕費の負担、賃貸の有無など、こまめに情報交換することでスムーズに対応できます。

2. 費用負担や使用ルールを文書化しておく

口頭だけで決めると、記憶や認識のズレからトラブルが起こりやすくなります。共有者間で管理費用の分担や使用ルールをまとめた文書を作成し、全員が内容を把握できるようにしておきましょう。後から追加で決まった事項も逐一追記していくとよいですね。

3. 相続対策を早めに検討する

共有者のうち一人でも亡くなると、さらにその相続人が共有持分を引き継ぐことになり、共有者が増える場合があります。想定外に共有者が増えると意思決定が一層難しくなります。生前贈与や遺言書の作成など、相続対策を早めに検討することで、将来の混乱を防げるでしょう。

4. 専門家への相談を積極的に行う

共有持分に関する問題は、法律・税務・評価など多岐にわたります。個人で判断して進めるよりも、不動産鑑定士や弁護士、税理士、司法書士などの専門家に早めに相談したほうが、最適な解決策を提案してもらいやすいです。特に解消方法や相続対策では、複雑な手続きが絡む場合が多いため、専門家のサポートを受けることは大きなメリットとなります。

まとめ

共有持分は、一つの不動産を複数人で所有するという形態であり、相続や共同購入などによって生じることが多いです。共有者は不動産を共同で管理・使用する権利を持つ一方、自由な売却や大きな改修などには共有者全員の合意が必要となるため、意思決定がスムーズに進まないリスクを抱えています。

将来的なトラブルや使い勝手の悪さを防ぐためには、早めに共有状態を解消するか、共有者同士でルールや費用負担を明確化するなどの対策を講じることが大切です。特に相続が繰り返されると共有者が増え、合意形成が困難になるため、「とりあえず放置」は避けるのが賢明でしょう。

もし共有持分について具体的な悩みや不安をお持ちの場合は、不動産鑑定士・宅地建物取引士などの専門家に相談し、より安全かつ迅速に解決できる道筋を探るのがおすすめです。専門的なアドバイスを受けることで、納得のいく形で共有持分を活用・解消し、安心して不動産を管理することが可能となります。

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