【参照】民法(共有)/法務省(所有者不明土地対策)/自治体(固定資産税の連帯納税義務)
URL:https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089
URL:https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00343.html
URL:https://www.kumakogen.jp/soshiki/4/23178.html
共有名義は資産ではなく『意思決定の負債』になりやすい
共有名義(共有不動産)は、仲良く持てている間は問題が見えにくい仕組みです。
しかし一度、相続・離婚・遠方転居・金銭事情の変化が起きると、『売る』『貸す』『直す』『建て替える』が急に止まり、時間と感情だけが削れていくことがあります。
株式会社SAが共有持分の相談で最も多く見てきたのは、法的な難しさよりも『合意形成が動かない』という現実です。
この記事では初心者の方でも理解できるように、共有名義・共有持分の基礎から、起きがちなトラブル、そして共有解消の実務まで、競合記事より一段深く整理します。
この記事でわかること:共有名義・共有持分の全体像
- 共有名義と共有持分の違い、よくある誤解
- 民法の基本ルール『保存・管理・変更』と同意要件
- 共有名義の罠:売却・賃貸・リフォーム・建て替えが止まる理由
- 固定資産税・管理費・修繕費の負担で揉める典型パターン
- 共有物分割請求という『突然の強制終了』が起きる仕組み
- 所在不明共有者がいる場合の新しい制度と限界
- 共有解消の現実的な順番と、株式会社SAの提言
共有名義とは:共有持分とは『権利の割合』であって『部屋の取り分』ではない
共有名義とは、一つの不動産を複数人で所有する状態です。
共有持分とは、その不動産に対する『権利の割合』を指します。
ここで初心者の方がつまずくのが、『持分1/2だから家の半分を自由に使える』という誤解です。
実際の生活では、戸建てやマンションを物理的に半分ずつ使い分けるのは難しく、権利と現実の利用がズレやすいのが共有名義の特徴です。
共有名義が生まれる典型例:相続・離婚・親子ローン・二世帯が入口になる
共有名義は、最初から『揉める前提』で選ばれることはほとんどありません。
むしろ『とりあえず共有にしておく』という善意の判断が、後から大きな罠になります。
よくある入口は次のとおりです。
- 相続:遺産分割がまとまらず、いったん共有で登記してしまう
- 離婚:住宅ローンや名義変更が難しく、共有のまま関係が続く
- 親子ローン:資金協力の結果、親子共有として登記される
- 二世帯:親の土地に子が建物を建て、権利関係が複雑化する
入口は『円満』でも、出口は『合意』が必要になるため、時間とともに不利になります。
共有名義のルールは3階建て:保存・管理・変更で必要な同意が変わる
共有不動産で何かを決めるとき、ポイントは『その行為がどの分類か』です。
分類を間違えると『多数決で決めたつもりが無効』になったり、『同意が足りずに前に進まない』が起きます。
| 分類 | イメージ | 例 | 同意の考え方 |
|---|---|---|---|
| 保存行為 | 壊れないよう守る | 雨漏りの応急処置、倒壊防止の最低限工事 | 単独でも可能な場面がある |
| 管理行為 | 日常の運用を決める | 清掃、草刈り、短期賃貸の設定、管理者選任 | 持分割合の過半数などで決める場面がある |
| 変更・処分 | 資産の性質を変える | 売却、抵当権設定、建て替え、造成など | 全員同意が必要になりやすい |
共有名義の罠1:共有者が1人でも反対すると売却が止まる
共有不動産を『不動産全体として売る』には、共有者の合意が必要になります。
相続人の1人が『思い出があるから売りたくない』と言えば、理屈ではなく感情で止まります。
さらに怖いのは、反対者が合理的な代替案を持っているとは限らない点です。
結果として、売却も活用もできないまま固定資産税と管理負担だけが積み上がります。
共有名義の罠2:賃貸に出すだけでも揉める
空き家を賃貸に出して家賃収入を得るのは、合理的に見えます。
しかし共有者の間で『貸す期間』『修繕費の負担』『家賃の分け方』『退去時の原状回復』が一致しないと、話が進みません。
賃貸は『運用』であると同時に『責任』でもあります。
入居者対応を誰がやるのかが決まらない共有は、賃貸化が頓挫しやすいのが現実です。
共有名義の罠3:リフォーム・大規模修繕・建て替えが決められない
老朽化空き家は、放置すると資産価値が下がるだけでなく、近隣トラブルや行政指導につながることもあります。
それでも共有だと『工事費を出したくない』『業者を信用できない』『工事後に売るのか貸すのか』が噛み合わず、意思決定が止まります。
こうして、手を入れれば再生できた物件が『取り返しがつかない状態』へ移行してしまうのが典型です。
共有名義の罠4:固定資産税は『持分どおり』に請求されないことがある
共有名義の固定資産税は、実務上『代表者』に納税通知書が届くことが一般的です。
そして自治体によっては、共有者全員が連帯して納付する仕組みで運用され、誰かが払わないと他の共有者に督促が来ることがあります。
つまり『自分は持分1/10だから税金も1/10だけ払えばよい』では済まない場面がある、ということです。
税金トラブルは感情を一気に荒らし、共有関係を修復不能にしがちです。
共有名義の罠5:管理費・修繕積立金が『払う人だけ損する構造』になりやすい
共有名義のマンションでは、管理費や修繕積立金の負担が争点になりやすいです。
とくに『1人が住んでいて、他は住んでいない』ケースでは、『住んでいる人が払うべき』という主張と、『持分に応じて払うべき』という主張がぶつかります。
どちらが公平かは個別事情で変わりますが、合意がないまま時間が経つと、滞納や差押えリスクが現実化します。
共有名義の罠6:共有者が増えると、共有は『増殖』して止まる
相続で共有になった不動産は、次の相続でさらに細かく分かれます。
兄弟2人の共有が、10年後には甥姪を含む6人、20年後には10人以上になることも珍しくありません。
共有者が増えるほど、連絡・同意・書面回収のコストが増え、『誰も決められない不動産』に近づきます。
ここまで来ると、空き家は社会的には迷惑施設化し、家族にとっては『触れたくない負債』になります。
共有名義の罠7:所在不明共有者が1人いるだけで前提が崩れる
共有者の住所が古い、転居先が分からない、音信不通、海外在住で連絡が取れない。
この状態が1人いるだけで、合意形成は一気に難易度が上がります。
近年は制度整備が進み、『所在等不明共有者』がいる場合の管理や処分を進めるための裁判手続が用意されています。
ただし、制度があることと、実務でスムーズに進むことは別問題です。
共有物分割請求という『強制終了ボタン』:突然、裁判で動き出すことがある
共有の最大の特徴は『共有者の誰でも、共有状態の解消を求められる』点です。
話し合いが長引くほど、痺れを切らした共有者が共有物分割請求を選ぶ可能性が高まります。
分割方法は現物分割、代償分割、換価分割などに分かれますが、状況によっては競売や換価が現実味を帯びます。
競売は市場売却より条件が不利になりやすく、全員が損する結末になりやすいのが怖いところです。
初心者が見落とす『一番危ない事実』:共有持分は単独で売れてしまう
共有不動産そのものは全員同意が必要でも、『自分の共有持分』は売れてしまうことがあります。
つまり、あなたが知らないうちに、第三者が共有者として入り込む可能性があります。
第三者が入ると、交渉の論点が『家族の話』から『ビジネスの話』へ変わります。
この瞬間、共有は『感情の揉め事』から『損得のゲーム』に変質し、解決コストが跳ね上がります。
共有解消の選択肢を整理する:大事なのは『順番』を間違えないこと
共有名義・共有持分の問題は、選択肢自体は多いのに、順番を間違えると一気に詰みやすい分野です。
株式会社SAが提言する整理の順番は次のとおりです。
- 登記と共有者の確定:登記事項証明書、住民票・戸籍で『誰が共有者か』を固める
- 目的の合意:売却か賃貸か保有か、期限を含めて方向性を決める
- 費用ルールの合意:固定資産税、管理費、修繕費、火災保険をどう負担するか決める
- 出口の設計:買い取り、持分の売却、共有物分割、専門家介入を比較する
- 長期化の前に決断:合意が壊れる前に、実行できる出口へ寄せる
株式会社SAの視点:共有名義の解決は『法律』より『出口設計』が9割
共有名義の相談は、条文の説明だけでは前に進みません。
現場で効くのは『いつまでに』『誰が』『いくらの負担で』『どの出口に着地するか』という設計です。
株式会社SAは、共有持分・再建築不可・相続不動産・老朽化空き家といった訳あり不動産の買取・再生を専門にしてきました。
共有持分の買取は、買う側にとっても簡単ではありません。
それでもSAがこの領域に向き合うのは、共有を放置した先にある『所有者不明化』『管理不全』『近隣トラブル』が、個人にも社会にもダメージが大きいからです。
共有者間で合意が作れない、または連絡が取れない局面では、専門会社の買取という出口が、結果的に最もコストを抑えることがあります。
初心者向けQ&A:共有名義・共有持分で最初に出る質問に答える
Q:共有名義の不動産は売れないのですか?
共有者全員の合意が整えば売れます。
ただし、合意が整わないことが問題なので、合意形成の難易度を先に見積もる必要があります。
Q:自分の共有持分だけなら売れますか?
状況によって可能です。
ただし、買い手が限定されやすく、価格条件も通常売却と同じ発想では決まりません。
Q:共有者が税金を払わない場合はどうなりますか?
代表者に請求が集中したり、共有者に督促が届くなど、実務上は揉めやすいです。
共有は『払わない人が得をしやすい構造』になりやすいため、早期のルール作りが重要です。
Q:共有者と連絡が取れないときは詰みですか?
詰みではありません。
ただし、裁判手続や供託など、時間と費用がかかる可能性があるため、早い段階で選択肢を比較することが大切です。
Q:共有物分割請求を起こされたら拒否できますか?
原則として、共有状態を解消する方向で手続が進みやすいです。
そのため、起こされる前に出口を作っておくことが現実的なリスク管理になります。
最後に:共有名義の最適解は『揉める前に出口を決める』こと
共有名義・共有持分の罠は、『問題が起きてからでは遅い』タイプの罠です。
揉めていない今こそ、冷静に整理できます。
そして、共有者の関係が悪化してからでは、同じ解決でも時間も費用も大きくなりがちです。
株式会社SAは、共有持分を含む訳あり不動産の現場から、『共有は放置しない』『出口を先に決める』『所有者不明化の前に動く』という三つを提言します。
訳あり不動産でお悩みの方へ
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