近年、訪日外国人観光客の増加やテレワーク・ワーケーションの普及などを背景に、民泊事業への注目度が高まっています。しかし、その一方で許認可を取得せずに行う「違法民泊」が社会問題となってきました。これを受け、2025年4月に施行される建築基準法改正では、違法な民泊運営に対してより厳格な罰則規定が盛り込まれる見通しです。特に再建築不可物件などの訳あり不動産において違法民泊が行われるケースは、今後さらに摘発や制裁のリスクが高まると予想されます。
本記事では、違法な民泊投資に対する新たな罰則や、2025年4月の建築基準法改正が与える影響について解説します。また、共有持分や共有名義、再建築不可、底地などの“訳あり物件”に関する融資の取り扱いも含め、不動産投資家や物件オーナーが知っておくべきリスクや対策方法を詳しくご紹介します。ぜひ最後までご覧いただき、今後の投資方針や融資戦略の見直しにお役立てください。
違法民泊と建築基準法改正のポイント
まず大前提として、民泊事業を営む場合は住宅宿泊事業法や旅館業法の許可、さらには建築基準法や消防法などの関連法令をクリアする必要があります。これらの手続きを踏まずに賃貸借契約の名目で宿泊事業を行うなどの「抜け道」は、自治体や国土交通省・厚生労働省から常にマークされています。
2025年4月に予定されている建築基準法改正では、既存の住宅を「宿泊施設」として無許可・違法に利用している場合の摘発が強化される見込みです。具体的には、違法利用の確認や立ち入り検査の頻度拡大、罰金・営業停止命令などの厳罰化が主な改正ポイントとなっています。従来の「是正勧告」中心の対応から一歩踏み込んだ規制強化となるため、違法民泊運営者にとっては一層厳しい時代に突入するといえるでしょう。
違法民泊へのペナルティ強化
罰金や行政処分などのペナルティは現行制度でも存在しますが、今後はより高額の罰金や長期間の営業停止など、事実上の廃業を余儀なくされるような処分が下される可能性も指摘されています。さらに自治体によっては、条例ベースでより厳しい独自制限を設ける動きもあり、悪質なケースでは民事・刑事双方で責任を問われるリスクが高まります。
投資家やオーナーにとっては、「罰金が高額になるから注意が必要」という単純な話にとどまりません。違法民泊が発覚すると、その物件の資産価値が大きく下がる可能性があります。また、行政とのトラブル履歴は金融機関に対するリスク情報として扱われるため、今後の融資が受けにくくなるといったデメリットも考えられます。
再建築不可物件や訳あり不動産のリスク
違法民泊のリスクが顕在化しやすい物件として、再建築不可物件が挙げられます。再建築不可物件とは、現行の建築基準法上、再度建物を建て直すことが認められない物件のことで、一般的に融資が下りにくく、資産価値が低めに評価されがちです。こうした物件を民泊用途に転用して短期収益を得ようとする投資家も少なくありません。
しかし建築基準法改正後は、再建築不可物件を含む老朽物件での違法民泊がより強く取り締まられることになります。具体的には、耐震基準を満たしていない、消防設備の未設置、避難経路の不備など、安全面で問題のある施設は特に厳しく追及される見込みです。
共有名義や共有持分物件も要注意
さらに、共有名義や共有持分として複数人で権利を保有している物件も注意が必要です。民泊事業は利用形態や時間帯、宿泊者の安全確保といった観点から、共有者全員の合意が得られないと大きなトラブルに発展するリスクがあります。仮に一部の所有者が違法民泊を強行してしまうと、法的責任の所在が不明瞭になりかねず、共有者全体がペナルティを被るケースも想定されます。
また、底地(地主は別に存在し、建物所有者が地代を支払っている状態)においても、地主側の了解や建物の利用規約などを無視して違法民泊を行えば、契約解除や訴訟リスクが発生することになるでしょう。これらのリスクから、訳あり物件ほど遵法性や安全対策への配慮を徹底することが求められます。
金融機関による融資への影響
違法民泊の摘発が強化されることで懸念されるのは、金融機関の融資姿勢の変化です。不動産投資ローンを扱う金融機関は、物件の収益性だけでなく、その適法性や将来的な資産価値も評価します。特に再建築不可や共有名義などの「訳あり」要素がある物件で違法民泊の実態があれば、融資審査はより厳しくなると考えられます。
また、今までは黙認されていたグレーゾーンの民泊運営も、建築基準法改正を契機に金融機関からの評価が下がり、金利上乗せや追加担保の要求、場合によっては融資拒否に至る可能性も否定できません。投資家としては、物件取得前やリノベーション計画の段階で「違法状態を絶対に作らない」という方針を徹底し、金融機関との良好な関係を維持することが重要です。
合法的な民泊運営のポイント
違法民泊の摘発が強化されるからといって、民泊投資自体がすべてリスクというわけではありません。合法的かつ安定収益を確保するためには、以下のポイントが挙げられます。
- 許認可の取得:住宅宿泊事業法や旅館業法、自治体の条例に従った申請手続きを行う。
- 建物の安全基準を満たす:耐震・防火・避難経路の整備などを徹底し、保険加入も検討する。
- 周辺住民とのトラブル防止:騒音やゴミ出しなど、宿泊者のマナー面に配慮したルール作り。
- 適正な告知と契約:インターネット上の掲載内容や契約書面で、法令順守を明示する。
これらを遵守することで、建築基準法改正後の厳しい環境下でも合法的に民泊事業を継続し、金融機関からの融資評価を下げずに済む可能性が高まります。
まとめ
2025年4月の建築基準法改正を受け、違法民泊に対する取り締まりが大幅に強化されることは間違いありません。再建築不可物件や共有名義・共有持分、底地などの訳あり物件であっても、しっかりと法令を遵守した上で民泊運営を行うことが何より重要です。違法状態が発覚すれば罰金や営業停止、さらには資産価値の下落や融資拒否といった深刻な事態を招きかねません。
今後は違法民泊への対応をきっかけに、訳あり物件の安全性や適法性へのチェックが一段と厳しくなっていくでしょう。しかし、だからといって投資機会が全くなくなるわけではありません。法令を順守し、安全対策や地域との共存を徹底すれば、十分に安定した運営と収益確保が可能です。金融機関との連携を含め、事業計画を十分に練り、適切な手続きとリスク管理を実行することが成功のカギとなります。
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