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トラブル解決 共有持分

2025年2月7日

【共有持分(共有名義・共有不動産)とは?】訳あり不動産のプロが語る徹底解説

はじめまして。株式会社SA代表取締役・不動産鑑定士の酒井 康博です。「共有持分」「共有名義」「共有不動産」といったキーワードは耳にしたことがあっても、実際に自分が直面すると「具体的にどういう意味?」「解決策はあるの?」と戸惑う方が多いのではないでしょうか。
 
日本の不動産事情を見ていると、相続・贈与・夫婦共有などによって「共有状態」になっているケースは少なくありません。しかし、不動産を複数人で所有することは、自由に売却や活用ができない、権利調整が難しいなどの多くのリスクを伴います。
 
本記事では、“訳あり不動産”を1円でも高く買い取り、できるだけ早く現金化を目指す私たちSAが、長年培ってきたノウハウも交えながら「共有持分とは何か」「なぜこんなにも扱いが難しいのか」「対策や解消法はあるのか」を解説します。
 
情報量はかなり多いですが、『自分(または家族・親戚)が共有名義になっている不動産をどうにかしたい』という方にとって、役立つ内容となっております。どうぞ最後までお付き合いください。

目次

  • 1. 共有持分の基本概要
  • 2. 共有持分が発生しやすいケース
  • 3. 共有不動産における権利と制限
  • 4. 共有名義にまつわる代表的なリスク
  • 5. 共有状態を解消する具体的な方法
  • 6. 共有持分の売却・放棄・分割に関するQ&A
  • 7. 競合他社の事例紹介(忠実再現&プラス解説)
  • 8. 共有不動産を持つメリットはあるのか?
  • 9. 家族信託や民事信託の活用例
  • 10. まとめ

1. 共有持分の基本概要

1-1. 「共有」とは何か

不動産を複数人で所有する状態を民法では「共有」と呼びます。たとえば、1つの土地や1つの建物に対し、兄弟で50%ずつ、あるいは夫婦間で3:7といったように、それぞれの“所有権割合”が定まっている場合です。この割合を「共有持分」、その権利を「共有持分権」と呼びます。
民法では、共有に関するルールを次のように定めています。
 

(共有物の使用)
第二百四十九条 各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができる。
~中略~

 
このように、共有者全員が自分の持分割合を基準に不動産を使う権利を持ちます。逆に言えば、使い方を巡って対立が発生しやすいともいえます。

1-2. 「共有持分」とは?持分権とは?

「共有持分」は、共有状態にある不動産の所有権のうち、各共有者がどの程度の割合を持っているかを示す概念です。また、その持分に基づいて行使できる権利を「共有持分権」と総称することがあります。

民法250条で、特に指定がなければ「共有者の持分は相等しい」と推定されます。これは、「共有者が3人いれば持分は3分の1ずつ」とみなされるという意味です。ただし、実際には「夫が1/2、妻が1/2」とか、相続時に「長男が1/3、次男が1/3、三男が1/3」のように、登記や合意で割合を明示するケースも多いです。

なお、共有持分は、共有者本人が放棄するとほかの共有者に帰属する、というルールもあります。これは「放棄した分が宙に浮かず、他の共有者に吸収される」イメージです。

 

2. 共有持分が発生しやすいケース

2-1. 夫婦のマイホーム購入(ペアローンなど)

夫婦共同で住宅ローンを組む(ペアローンや連帯債務など)場合、自然に「共有」状態になることが多いです。共働きで支払いを分担するため、それぞれが資金を出し合うという形になり、登記上の持分が発生します。典型例としては「夫が6割、妻が4割」のような比率です。

夫婦で生活するうちは問題なくとも、後々離婚や相続といった事情が発生すると、持分移転や売却が煩雑になるリスクがあります。「最初から単独名義にすべきだったかもしれない」という声も少なくありません。

2-2. 私道や隣接地の共有

私道や通路を複数の敷地所有者で共有するケースも多いです。これは公共の道路ではなく、個人や複数の所有者が管理する道のことを指します。各自が通行権を確保するため、共同で所有する形になりますが、道路の補修費などのコスト負担や改修計画を巡る意見の相違が生まれやすいです。

2-3. 相続による共有

相続において遺産分割協議が整わない、もしくは「話し合いで当面は共有にしておこう」という折衷案が出るなどの理由で、1つの不動産を複数人で共有する形になることがあります。特に、土地と建物しかない(金融資産がほとんどない)ケースだと、遺産を平等に分配しづらいためやむを得ず共有にする場合があるのです。

「相続が発生すると、共有者が自動的に増える」リスクもあるため、長期的に見て意思決定が難しくなる点が問題として挙がりがちです。

 

3. 共有不動産における権利と制限

共有不動産には、共有者それぞれに「管理」「使用」「変更」「保存」といった権利が認められます。ただし、その権利行使には『他の共有者がいる』という前提があるため、単独所有の不動産と比べて制限が生じやすいです。ここでは民法の条文と併せて確認していきましょう。

3-1. 共有物の使用(民法第249条)

民法249条によれば、各共有者は共有物の全部について、その持分に応じた使用をする権利があります。逆に言えば、自分の持分を超えて使用する場合は、他の共有者に「使用の対価」を支払わなければならない可能性があります。

たとえば、共有マンションの1室を共有者Aだけが占有し、BやCは全く使えない状態であれば「使用収益権の侵害」とみなされ、BやCはAに対して使用料を請求できることがあるのです。よくあるのが「Aが住み続け、Bは引っ越して出てしまったが、売却・家賃収入ともに得られない」ケース。BはAに対し、“持分を超える使用”の対価を請求する権利を持ちます。

3-2. 共有物の管理(民法第252条)

不動産を改装するとか、第三者に貸すとか、敷地を整地して駐車場にするなどの行為は「管理行為」と呼ばれます。管理行為には、共有者の持分価格の過半数による決定が必要です。

たとえば、共有者が5人いて、持分がそれぞれ20%ずつだと仮定すると、「20%×5人=100%」のうち過半数、すなわち60%以上の支持があれば管理行為として不動産を賃貸に出すことなどを決められるということです。もっとも、この持分割合が複雑なパターンもあり、合意形成に時間を要するのが実情です。

3-3. 共有物の変更(民法第251条)

不動産を大幅に改築・取り壊し・売却するといった行為は「変更」に該当します。変更行為には、原則として共有者全員の同意が必要です。軽微な変更(形状や効用を大きく変えない程度)であれば、持分の過半数で足りることもありますが、それをどこまで「軽微」とみなすかは意見が分かれることがあります。

売却に関しては特に「全員同意が原則」という点が大きなハードルです。共有者の一人でも反対すれば売却は成立しませんから、市場価値があっても現金化できない状況が生まれます。

3-4. 共有物の保存(民法第252条後段)

保存行為は、不動産の価値を維持するための修理・補修・不法占有排除などが典型例です。これは単独でも行えます。なぜなら、保存行為は他の共有者にとっても価値を損なわない、むしろプラスに働くケースが多いからです。

ただし、保存行為の名目で、実際には形状を変えたり財産価値に影響を及ぼす場合、「それは変更行為にあたるのでは?」とトラブルになる可能性もあるので注意が必要です。

 

4. 共有名義にまつわる代表的なリスク

共有名義の最大の問題は、「自由度が著しく低い」という点に尽きます。ここでは不動産鑑定士として私がよく見る代表的なリスクを紹介します。

4-1. 利活用の制限

「土地を使って駐車場ビジネスを始めたい」「古家を改装して貸し出したい」と思っても、共有者の半分以上あるいは全員の同意がなければ実行できません。特に売却や大規模リフォームは変更行為に該当するため、全員同意が必要という場面がよくあります。

共有者が多いほど、意見が割れるリスクや連絡が取りにくい問題などで、利活用が頓挫しやすいです。その結果、ただ空き家のまま放置され、老朽化が進んでいくだけのケースも珍しくありません。

4-2. 権利関係の複雑化・相続による共有者増加

共有者の一人が死亡すれば、その持分が相続人に引き継がれます。そうなると、もともと3人だった共有者が一挙に5~6人になることもあります。しかも相続人たちが遠方に住んでいたり、高齢だったりすると、連絡手段もままならない状況になりがちです。

時には相続登記すら行われず、所有者不明化してしまうことも。共有不動産の世界では、よくある悲劇といっても過言ではありません。

4-3. 勝手な利用・賃貸への対価請求

共有物を他の共有者に無断で使用し続けたり、勝手に賃貸に出して家賃収入を得ている場合、他の共有者は使用の対価や家賃相当額を請求できます。しかし実際、そこで金銭トラブルや感情的対立が深刻化し、「家庭裁判所で調停」「弁護士を立てて訴訟」など、法的手段に発展する例も少なくないのです。

特に相続で共有になった場合、「長男が住み続けているが、次男や三男は何も恩恵を受けていない」状況が長く続くと不満が募ります。これが「共有解消」を難しくさせる要因にもなります。

 

5. 共有状態を解消する具体的な方法

「こんなにデメリットが多いなら、共有をやめたい」という方に向けて、ここからは具体的な解消方法を解説します。大きく分けると下記のような方法があります。

  • 1.共有物そのものを分割する(現物分割・換価分割・代償分割)
  • 2.共有持分を売却する
  • 3.共有持分を放棄する
  • 4.共有者全員で第三者に共同売却する

5-1. 共有物を分割する

民法256条に基づき、共有者はいつでも分割を請求できます。「現物分割」「換価分割」「全面的価格賠償(代償分割)」の3パターンを押さえておきましょう。
 

  • 現物分割:例えば土地を物理的に区分けして、Aさんは北側、Bさんは南側とする方法
  • 換価分割(代金分割):共有不動産を売却して現金化し、持分割合に従って分配する
  • 全面的価格賠償(代償分割):ある共有者がまとめて不動産を取得し、他の共有者に金銭(代償金)を支払う

 
裁判になると競売になる例もありますが、競売は市場価格より安くなりやすいため、当事者が納得していれば共同売却の方が有利なことが多いです。

5-2. 共有持分を売却する

単独でもできるのが「共有持分のみの売却」です。ただし、市場の一般的需要が低いので、普通の買主はなかなか現れません。そこで、「共有持分専門の買取業者」に相談するのが現実的です。自社で買取後、残りの共有者と交渉していくのが得意な業者が存在します。

あるいは、他の共有者に買い取ってもらう手段も検討可能です。「兄がそのまま住む気なら、私の持分を買い取ってよ」といった形ですね。

5-3. 共有持分を放棄する

民法255条で「共有持分の放棄」が認められています。これは自己の持分を無償で他の共有者に譲り渡すイメージです。放棄をしたい側は単独で意思決定が可能ですが、登記上は移転手続きが必要なので、ほかの共有者の協力も必要になります。

これは『実質的に不動産を手放す代わりに何も得ない』ため、共有持分の処分がどこにも売れない、煩わしいなどの場合の最後の手段として見られがちです。

5-4. 共有者全員で第三者に共同売却

最もシンプルなのが「共有者全員が合意し、第三者に不動産をまるごと売る」方法です。売却価格をそれぞれの持分割合で分配できます。欠点は、全員合意が必要というところ。1人でも反対すれば成立しません。

当社SAがよく取り扱うのは、まさにこうしたケースです。「もう住む予定もない空き家だし、売りたいんだけど共有者(親族)が首を縦に振らない」というお悩みは本当に多いです。

 

6. 共有持分の売却・放棄・分割に関するQ&A

6-1. 共有持分だけ売却するとき、他の共有者に通知する義務はある?

原則として共有持分は各自が自由に処分できますが、共有者に黙って第三者へ売却するとトラブルが起こりがちです。法的には、共有持分を譲渡する際に他の共有者の承諾や優先買取権があるわけではありません。ただし、不動産登記に移転登記を入れるときには連絡せざるを得ない局面もあります。
トラブルを避けるためにも、事前に一報入れておくのが望ましいといえます。

6-2. 持分が増えすぎて相続人が分からない!どうしたら?

所有者不明化が起きている場合、まずは法定相続情報一覧図や戸籍の取り寄せにより、できる限り共有者を特定し、所在を探す努力をします。民法の改正や特別立法により、共有物分割や管理について裁判所の許可を得られるパターンも増えました。必要であれば弁護士や司法書士に依頼し、法的手続きを踏むしかありません。

 

7. 共有不動産のリスクと解消)

7-1. ポイントのまとめ

  • 1.共有不動産は自由利用が制限される
  • 2.共有者に相続が起こることで権利関係がさらに複雑になる
  • 3.共有不動産の売却には共有者全員の合意が必要となりリスクが高まる
  • 4.第三者に対する持分単独の売却なども選択肢に入ってくる
  • 5.共有についてのメリットとして税金対策以上に、将来の争族を考えて検討すべき
  • 6.家族信託の活用することでリスク対策が可能になる

 
他のコラムサイトでも共有不動産は「活用しづらくリスクが大きい」ことを警鐘として鳴らしています。

7-2. 家族信託・民事信託には注意が必要

家族信託や民事信託は確かに強力な手段ですが、それを導入するためには共有者同士の合意が必要です。信頼できる受託者を誰にするか、受益者はどう設定するか、信託終了事由はどうするか、など、具体的な設計が求められます。

共有者全員の協力が得られない場合、または家族内に受託者になれる適任者がいない場合は、「共有持分を専門的に買い取る業者に売却する」というシンプルな道も検討すべきです。実際、当社に持分売却を検討されるケースの中には「兄妹で合意できず何年も経過し、ようやく専門業者に行き着いた」という方が珍しくありません。

 

8. 共有不動産を持つメリットはあるのか?

前述の通り、基本的には避けたい共有状態ですが、メリットが全くないわけではありません。

8-1. 住宅ローン控除の二重取り

夫婦のペアローンなどでマイホームを共有にすることで、住宅ローン控除を夫婦それぞれが適用しやすくなります。これにより、所得税や住民税の節税効果が高まり、家計全体で見れば経済的メリットが生まれることも。

8-2. 売却時の3,000万円控除を複数人で活用

マイホームを売って譲渡益が発生した場合の3,000万円特別控除は、共有者それぞれが要件を満たしていれば、人数分の枠が使える可能性があります。仮に夫婦共有であれば「3,000万円×2人=6,000万円相当の控除」になるイメージです。

8-3. 公平な家賃収入の分配

相続で受け継いだアパートなどを共有することで、収益を分配できるという利点も。まとまった現金化を求めない兄妹が「賃料を分け合いたい」場合など、共有しておく意義があるかもしれません。ただし将来的な修繕費負担や意見対立には注意が必要です。

 

9. 家族信託や民事信託の活用例

家族信託(民事信託)を活用することで、共有不動産の管理や売却をスムーズに進められる場合があります。ここでは、当社SAの視点から、代表的な活用イメージをさらに深堀りします。

9-1. 全員高齢の兄弟が共有するマンションを信託

兄弟3人が相続したマンションを共有しているが、誰も住んでいない。しかし、いずれ誰かが亡くなったり認知症になる可能性がある。そこで、3人ともが元気なうちに、家族信託で1人の“受託者”に不動産管理・処分権限を移す。
すると、将来売却が必要になっても、認知症で判断能力を失った兄弟の同意を求める必要はなく、受託者が単独で売却契約を締結できるわけです。

9-2. 共有不動産の一括管理で修繕や賃貸がしやすい

家族信託では、物件ごとに管理権限を受託者へ委ねる契約を結ぶため、共有者間の細かい合意形成がなくても修繕や賃貸に踏み切れます。賃貸収入も受託者が受け取り、受益者たちに分配できるため、共有者それぞれが煩わしい管理業務に手を煩わせずにすみます。

とはいえ、家族信託を設計するには一定の専門知識が必要です。共有者全員の合意を得たうえで契約書を作成し、公正証書にするなど、手続きにコストや時間がかかります。
よって「そこまでやるのは大変…」という場合は、前述の「共有持分を業者に売却する」「共同売却する」といったシンプルな手段も検討すべきです。

 

10. まとめ

共有名義の不動産は、複数人で所有権を分け合う点でいくつかのメリットがありますが、それ以上に「利活用がしづらい」「意思決定に全員の同意が要る」「相続でさらに共有者が増える」といったリスクが顕在化しがちです。もしすでに共有状態になっているのなら、以下の解消方法が検討できます。
 

  • 1.現物分割・換価分割・代償分割などの手段を使った不動産の分割
  • 2.共有持分を売却(他の共有者や専門業者へ)
  • 3.共有持分を放棄し、他の共有者に帰属させる
  • 4.全員合意で第三者に共同売却
  • 5.家族信託で管理権限を受託者へ移転しておく

 
共有者間で意見が合わずに放置されると、将来さらなるトラブルを招きやすくなります。可能なうちに、共有状態を解消するか、信託などの仕組みを整えるなど、早めに行動することをおすすめします。私たち株式会社SAは、共有持分を専門的に扱い、「訳あり不動産を1円でも高く、そして早く」買い取ることで、多くの方の悩みを解決するお手伝いをしてきました。もし共有不動産のことでお困りの際は、どうぞお気軽にご連絡ください。

 

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