最終更新日:2026年10月19日
「相続放棄をしたら、実家のことは何もしなくていい?」。答えは、放棄したときに家をどのように使い、管理していたかによって変わります。すべての人に保存義務が残るわけではありません。ただし、相続放棄を考えている間に実家を売ると、放棄ができなくなるおそれがあります。まずは手続きの期限と家の状況を確認しましょう。
- 義務の対象:放棄したとき、実際に家を使い、管理していた状況などから判断します。相続人だったという理由だけで一律に負うものではありません。
- 判断の期限:相続放棄の熟慮期間は、原則として自分のために相続が始まったことを知った時から3か月です。
- 売却との関係:査定による価格の確認と、売買契約・財産の処分は分けて検討します。
「実家を売って借金を返せばいい」と決める前に
親族の死亡後に金融機関から返済を求める通知が届くと、借金を引き継ぐのか、実家を売って返せばよいのかと迷うかもしれません。大切なのは、不動産の価格だけで決めず、相続財産と債務の全体、相続人、手続きの期限を確認することです。
相続放棄は、亡くなった人の権利・義務を受け継がないための手続きです。「実家は受け取り、借金だけを放棄する」という選び方はできません。財産の限度で債務を負担する限定承認という制度もありますが、要件や手続きが異なるため、選択肢を専門家と確認しましょう。
相続放棄後に実家の保存義務が残るのはどんな場合?
民法940条で大切なのは、放棄したときに実家などの財産を「現に占有」していたかどうかです。「占有」は、実際に住んだり、使ったりするなど、財産を事実上支配している状態を指す法律の言葉です。法務省の解説は、義務の対象を現に占有している財産に限定し、義務の内容もその財産の保存にとどまると説明しています。
| 確認する点 | 基本的な考え方 |
|---|---|
| 誰が義務を負うか | 相続放棄時に、その相続財産を現に占有していた人です。 |
| どの程度の注意が必要か | 自分の財産に対するのと同じ程度の注意をもって保存します。 |
| いつまで続くか | 相続人または相続財産清算人に、その財産を引き渡すまでです。 |
鍵を持っているかどうかだけで、一律に義務の有無を決めることはできません。居住・使用・管理などの状況を整理し、現に占有しているといえるか、誰にどう引き渡すかを専門家に確認してください。相続人全員が放棄した場合などは、家庭裁判所が選ぶ「相続財産清算人」に、財産の管理や借金の支払いなどを担ってもらう手続きが必要になることもあります。
出典:法務省「民法等の一部を改正する法律等の概要」相続放棄者の義務に関する解説(PDF)/民法940条(e-Gov法令検索)
相続放棄の期限は原則3か月。調査が間に合わない場合は?
相続放棄の期限は、原則として、亡くなったことと自分が相続人になったことを知ってから3か月です。この判断のための期間を「熟慮期間」といいます。調べても財産や借金の全体が分からず、相続するか決められないときは、期限内に家庭裁判所へ「考える時間を延ばしてほしい」と申し立てる方法があります。延長が認められるかは裁判所が判断します。
亡くなった日と自分が相続人になったことを知った日は、必ずしも同じではありません。期限が過ぎたと思っても事情によって扱いが変わることがあるため、自分だけで結論を出さずに相談してください。金融機関から届いた通知や、相続を知った経緯が分かる記録も残しておきましょう。
出典:裁判所「相続の承認又は放棄の期間の伸長」/裁判所「裁判手続 家事事件Q&A」
実家を売ると相続放棄ができなくなることがある
民法921条は、相続財産の全部または一部を処分した場合などに、「財産も借金も引き継ぐことを認めた」と扱う場合を定めています。これが「単純承認」です。保存行為などの例外はありますが、実家の売却は放棄を検討する前に急いで進めるべき手続きではありません。
相続放棄と仲介・買取は、同じ条件で優劣を比べられるものではありません。放棄をするかの判断には債務全体の確認が必要です。一方、相続する方針を決め、売却する権限や登記を確認できた場合には、仲介と直接買取の条件を比較できます。
| 現在の状況 | 先に確認すること |
|---|---|
| 借金の額が不明で、放棄を検討中 | 債務の調査、熟慮期間、財産処分の可否を弁護士などへ相談します。 |
| 相続放棄をした後 | 放棄した人が所有者として自由に売却することはできません。保存義務の有無と引渡し先を確認します。 |
| 相続して売却する方針が決まった | 相続人・登記・権利関係を整理し、売却価格、費用、引渡し条件を比較します。 |
出典:民法921条・939条(e-Gov法令検索)/法務省「相続登記の申請義務化に関するQ&A」
相続放棄と実家の売却のよくある質問
Q. 遠方に住んでいても保存義務はありますか?
A. 住所が遠いという事情だけでは判断できません。放棄時に相続財産を現に占有していたかを、利用・管理の実態から確認する必要があります。
Q. 放棄するか決める前に査定を受けてもよいですか?
A. 売却価格を判断材料として調べることと、売買契約を結んで財産を処分することは異なります。放棄を検討していることを査定先に伝え、契約や処分へ進む前に弁護士などへ確認してください。
Q. 3か月で買い手が見つからなければ、放棄できなくなりますか?
A. 売却活動をしていても、熟慮期間が自動で延びるわけではありません。放棄の判断や期間伸長の申立てが必要か、期限内に相談してください。
株式会社SAに相談できること
株式会社SAは、相続した空き家や共有持分など、権利関係が複雑な不動産の査定・直接買取を扱っています。不動産の価格や売却条件を確認するお手伝いをし、登記や権利関係の整理が必要な場合は専門家と連携して進めます。相続放棄の可否や債務に関する法的判断は、弁護士などへご相談ください。
不動産相続の相談・買取サービス、空き家買取サービスでは、取り扱いと相談の流れをご案内しています。
相続した実家の査定は、SAへ
SAは相続した空き家・共有持分・再建築不可を現況で買い取ります。まず価格を知りたい段階でもご相談ください。放棄を検討中の場合はその旨をお伝えいただき、査定と売却契約を分けて進めます。
仲介会社の方は、専門チームへ物件をご紹介ください。
