URL:https://www.sankei.com/article/20251206-LSMLT72DDVJUNFKC2OCT4BEBJY/
駐車場代5500円の一方的な値上げに裁判所が「NO」
東京都新宿区四谷のマンションで、借主に通知された駐車場代5500円の値上げと解約通告の正当性が争われた訴訟で、東京地裁は貸主側の対応を「違法」と判断。
徴収済みの値上げ分1万1000円の返還と、12万円の損害賠償を命じました。
裁判所は「適正賃料との差が大きい証拠はない」などとして、借主の負担増を合理的と認めず、貸主の強引な交渉姿勢を退けました。
解約通告メールに「暗証番号を変える」「出庫が必要」など圧力的表現
夫婦が2020年に入居した際の賃料は家賃+駐車場代+管理費で16万3000円。
6年目の更新時に家賃総額を20万4000円に引き上げたいと通告され、夫婦は18万8000円であれば応じる方針を示し、引き落としも開始されました。
しかし、2025年2月に突然「駐車場代だけ値上げする」と通知。返答しないまま2カ月分が引き落とされ、弁護士を通じた交渉を試みたところ、
「暗証番号を変えるため期日までに出庫せよ」「さかのぼり駐車料金を支払えば強制作業を中止する」
といった圧力的なメールが送付されました。
都心で進む家賃の上昇、値上げ交渉の増加が背景に
不動産情報会社アットホームの調査によると、東京23区の賃料は前年同月比で10%超の上昇。
・シングル向け:平均10万4594円(前年比10.6%増)
・カップル向け:17万1031円(前年比11.7%増)
大阪・名古屋・福岡でも同様に上昇基調が続いています。
建築コスト増、人口の転入増、分譲価格の高騰により、賃貸需要が高まり供給が追いついていないためです。
こうした市場環境の変化が、貸主側の強気な値上げ交渉を誘発していると指摘されています。
借地借家法が保護する「家賃」と、保護されない「駐車場代」
借地借家法では、住宅賃貸において貸主は「正当な事由」なく解約や値上げを行うことはできません。
しかし、駐車場は同法の適用外となるケースがあり、契約形態によって借主保護の範囲が変わります。
本件では、貸主側が「駐車場だけは別契約」と主張したものの、契約書では家賃と駐車場代が一体の契約内容として記載されており、裁判所は貸主の主張を退けました。
裁判所「不動産高騰でも不当な手段は許されない」
夫婦側の代理人・秋山弁護士は
「不動産価格や物価高騰を背景に、賃料値上げの交渉は増えている。しかし不当手段は許されないと裁判所が示した意義は大きい」
とコメント。
今後も都市部を中心に賃料トラブルが増える可能性があり、契約内容の確認と適切な交渉が求められます。
株式会社SAの視点:賃料トラブルの裏にある「契約と不動産価値」のずれ
株式会社SAは、共有・相続放棄・再建築不可・所有者不明物件など複雑な不動産の法務整理・再生を専門に扱っています。
今回の裁判は、契約内容と市場価値が乖離しつつある都市部で、賃料交渉が強引になる構造リスクを示しました。
不動産の適正評価・法的整理・契約書の整備は、空き家問題だけでなく賃貸市場の健全化にも不可欠です。
SAは、トラブル予防のための契約見直しや権利整理を通じて、安全で透明性の高い不動産市場づくりを支援しています。
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