【参照】国土交通省「不動産取引に係る新たなサービス形態について」
https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/001885858.pdf
不動産コンサルティングサービスに期待される役割
国土交通省の資料では、不動産コンサルティングサービスは「空き家・相続・有効活用など不動産全般の課題整理と助言を行う役割」と定義されています。空き家対策や相続不動産の相談窓口として、不動産コンサルティングマスターへの期待は高まっています。
アンケートでは、不動産コンサルティングマスターの約8割が「積極的に取り組みたい」「取り組みたい」と回答しており、現場の意欲は非常に高いことが分かります。一方で、仲介手数料とは別の名目で報酬を受け取った件数は「0件」が41%と、ビジネスとしてはまだ十分に成立していない実態も示されています。
一過性の取引モデルが不動産コンサルティングを難しくする理由
不動産取引は、多くの消費者にとって「一生に数回あるかないか」の一過性の意思決定です。住宅購入も、相続不動産の売却も、保険や資産運用のように定期的な見直しを依頼することはほとんどありません。したがって、継続的な顧問料やサブスクリプション型のコンサルティングモデルを構築しづらい構造があります。
さらに、不動産はそれぞれが唯一無二の高額案件です。仲介会社から見ると「売買仲介を任せてもらえれば一件で大きな利益が出る」ため、コンサルティングだけ別発注されると、肝心の仲介業務を競合に奪われるリスクがあります。その結果、「コンサルフィーをきちんと請求したいが、競争を考えると踏み出しにくい」というジレンマが生まれています。
加えて、住宅価格や土地価格は、最終的には相場と金利、近隣の成約事例、タイミング、相手方との縁など、多くの外部要因に左右されます。「コンサルを入れたから必ず高く売れる」「必ず安く買える」とは言い切れず、成果報酬型にもしづらい。この構造的な難しさが、不動産コンサルティングの普及を阻んできました。
国交省が進める新たな枠組み──報酬ルールの明確化と地域WG
こうした課題を受け、国土交通省は令和6年に「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」を改正し、仲介とは別契約であればコンサルティング報酬を受け取れることを明確化しました。
また、不動産コンサルティングマスター検索サービスを拡充し、「空き家対策」「相続対策」など課題別に専門家を探せるようにしたほか、全国レベルの「不動産コンサルティングフォーラム」や、地域単位の「不動産コンサルティング地域ワーキンググループ(地域WG)」制度も創設されました。これにより、優良事例やノウハウの共有、消費者向けの相談窓口づくりが進められています。
制度面では確実に前進しているものの、「どう報酬を設計するか」「仲介とコンサルティングをどう切り分けるか」という実務上の課題は、今後も現場での試行錯誤が必要です。
株式会社SAの視点:コンサルだけではなく「意思決定の伴走+買取」まで一体で担う
株式会社SAは、共有持分・再建築不可・底地・老朽化空き家・事故物件など、一般の仲介会社が扱いづらい訳あり不動産を、買取と再生まで一貫して手がけてきました。
訳あり不動産では、単に「売るか・売らないか」「いくらで売れるか」の前に、「相続人同士の調整」「境界確定」「賃借人や底地人との交渉」「将来の相続・事業承継との整合」など、多数の論点が絡み合います。ここでは、不動産コンサルティングサービスのような総合的な課題整理が不可欠です。
しかし、前述のとおり「コンサルだけを有償で切り売りする」モデルは、不動産業の収益構造や競争環境と相性が良くありません。そこでSAは、「初期のコンサルティング」「権利整理・法務整理」「最終的な買取・出口戦略」までを一体のプロセスとして設計し、その全体の中で利益とコストをバランスさせるモデルをとっています。
相場とタイミングの世界だからこそ、「価格」ではなく「後悔しない判断」に価値がある
不動産市場には明確な相場があります。どれだけ優秀なコンサルタントがついても、短期間で市場全体の価格水準を変えることはできません。売主・買主の事情や、金利・税制・近隣取引事例、さらには「たまたま今このタイミングで希望条件の相手が現れるか」といった運や縁も結果に大きく影響します。
だからこそ、コンサルティングの価値を「いくら高く売れたか」「いくら安く買えたか」だけで測ろうとすると、不動産コンサルティングはいつまでたっても評価されません。SAは、訳あり不動産の現場で、むしろ次のような観点こそがコンサルティングの本質的な価値だと感じています。
・リスクや選択肢を整理し、「何もしない場合」の未来も含めて比較できるようにすること
・相続人や共有者、テナント、金融機関など関係者の合意形成を支援し、争いを最小化すること
・「売る/残す/貸す/国庫帰属を検討する/買取を依頼する」など複数の出口を提示し、納得して選べるようにすること
市場価格やタイミングはコントロールできませんが、「情報の非対称性を減らし、後悔しない意思決定を支えること」は、専門家だからこそ提供できる価値です。
SAの提言:不動産コンサルティングは「単発のサービス」ではなく「出口までの設計業務」として再定義を
国交省の取り組みは、不動産コンサルティングを「仲介の付属業務」から「独立したサービス」として位置づけ直す第一歩です。しかし、現場の肌感覚としては、コンサルだけを単発で切り売りするモデルには限界があります。
ゆえに、株式会社SAが提案したいのは、不動産コンサルティングを「出口まで含めた設計業務」として再定義することです。
具体的には、次のような考え方です。
・初期の相談段階から、仲介・買取・有料引取・国庫帰属・自社活用など、複数の出口を中立的に並べて検討すること
・その上で、訳あり不動産については「自社買取」という明確な出口を提示し、コンサルティングの成果を実際の取引につなげること
・コンサルフィーは「意思決定を支えるプロセス」に対する対価と位置づけ、買取価格とのバランスの中で相談者にわかりやすく設計すること
こうしたモデルであれば、所有者は「高額なコンサル料だけを払って終わり」ではなく、「意思決定の支援+具体的な出口」をセットで受け取ることができます。不動産会社にとっても、一過性の取引だけに依存せず、長期的な信頼関係を築きやすくなります。
訳あり不動産でお悩みの方へ
共有名義・再建築不可・相続放棄・所有者不明・老朽化空き家・事故物件など、扱いに困る不動産をお持ちではありませんか?株式会社SAが、不動産コンサルティング的な課題整理から、法務整理・権利調整・買取・再生・引取までを一貫サポートします。
【24時間電話相談OK】TEL:03-6823-2420
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東京の住宅問題を、動かない不動産の再生から解決します。
