「不動産なら相続税を必ず減らせる」「売れば税務上の問題がなくなる」といった説明だけで、購入・贈与・売却を決めないことが大切です。適用される評価方法を税理士に確認し、納税資金、保有費用、家族の希望まで含めて考えましょう。
内容確認・更新:2026年10月16日
相続税の評価額と、売却できる価格は目的が違う
相続税・贈与税における財産評価は、課税時期の時価を原則とし、具体的な評価方法が国税庁の通達等で定められています。不動産会社が示す売却査定額とは、目的も算定の前提も異なります。
評価額が低いことだけで、納税資金を確保できるとは限りません。逆に、査定額が高くても、想定する期限までにその価格で売れるとは限りません。税額の試算と売却条件の確認を分けて進めます。
不動産を直接所有している場合と、不動産を持つ会社の株式を所有している場合も、評価する財産が異なります。ある法人株式の贈与事例を、一般の実家の相続へそのまま当てはめることはできません。
評価通達6項は、すべての不動産を買値で課税する規定ではない
財産評価基本通達6項は、通達どおりに評価することが著しく不適当な場合に、国税庁長官の指示を受けて評価する仕組みです。一般的な評価方法とは別の評価が認められるかは、個別の事情に関わります。
国税庁が公表した資料でも、評価通達に沿うことを原則とし、異なる評価には合理的な理由が必要であることが説明されています。「不動産による相続税対策がすべて禁止された」という意味ではありません。
共有名義であることだけを理由に、この規定の対象と断定することもできません。購入・借入・贈与の経緯、利用実態、取得と相続の時期等を整理し、具体的な評価は税理士へ確認します。
貸付用不動産の評価見直しは、2026年10月16日時点では通達案
国税庁は2026年9月18日、「貸付用不動産の評価について」の通達案を公表しました。意見募集の締切は同年10月18日で、この記事の確認時点では案の段階です。既にすべての相続へ適用されている制度として扱わないでください。
案では、課税時期前5年以内に対価を伴って取得・新築した一定の貸付用不動産を、通常の取引価額に相当する金額で評価する考え方が示されています。一定の不動産小口化商品については、取得時期にかかわらず評価を見直す内容も含まれます。
適用開始は2027年1月1日以後の相続・遺贈・贈与による取得を予定していますが、対象の定義、計算方法、除外されるケースは通達案の確認が必要です。最終公表された内容を確認して判断する必要があり、一般の自宅や長年保有する実家が一律に対象となる話ではありません。
一方、居住用の区分所有財産の評価方法は、2024年1月1日以後の相続等による取得から適用されています。こちらは適用済みの別の見直しで、対象外となる物件も定められています。
売却を検討するなら、税額だけでなく資金の流れを比べる
| 検討する案 | 税務と一緒に確認すること |
|---|---|
| 保有を続ける | 利用・賃貸の見通し、修繕費、将来の管理担当 |
| 相続後に売る | 納税期限、売却までの時間、売却益への課税 |
| 生前に売る | 売却費用・税金、生活資金、残す財産の配分 |
| 家族へ移す | 贈与・売買の違い、対価、取得後の負担 |
現金にすると分けやすくなる一方、売却に伴う税金や費用が生じることがあります。現金化するだけで相続税がなくなる、過去の申告の問題が解消する、というわけではありません。
共有不動産を売る場合は、全体売却か持分単独かを区別します。手取りの配分は権利と合意に沿って整理し、家族間の送金が別の贈与に当たらないかも確認しましょう。
相談前に、取得・利用・家族の情報を整理する
- 1 / 3取得契約書・代金・借入・時期
- 2 / 3利用自宅・賃貸・空き家の状況
- 3 / 3資金納税見込み・保有費・売却条件
税理士には、相続関係、所有割合、取得費や借入の資料、賃貸契約、これまでの贈与等を伝えます。不動産会社には、売却の対象と希望時期を伝え、価格・費用・引渡し条件を確認します。
一つの節税額だけで判断せず、家族が管理を続けられるか、必要な現金を確保できるかまで検討します。購入や贈与等の実行前に確認することで、後から条件が合わないと分かる事態を減らせます。
売却の進め方を、専門チームに相談する
相続不動産や共有持分の売却を選択肢として比較したい方はご相談ください。専門チームが物件と権利の状況を確認し、税理士へ相談する際にも整理しやすい買取条件をご案内します。
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