相続対策のために取得した不動産も、家族の状況や賃貸の収支が変われば、持ち続けるかを見直す必要があります。ただし、税制の見直しに関するニュースだけで、急いで売ると決める必要はありません。誰の財産を、何の目的で保有しているかを整理し、現在の数字で確かめましょう。
内容確認・更新:2026年10月16日
相続対策の不動産は、所有者と目的から見直す
まず、登記と契約を確認し、個人が所有しているのか、会社が所有しているのかを分けます。会社の不動産と、その会社の株式は、別の財産です。
| 確認する点 | 整理したい内容 |
|---|---|
| 所有者 | 個人・共有・会社のいずれか。共有なら各人の持分 |
| 取得した目的 | 賃料収入、家族の住まい、事業での利用、相続対策など |
| 借入れ | 借主、残高、担保、返済予定、保証の内容 |
| 今後の使い方 | 誰が利用・管理し、誰へ引き継ぐ予定か |
会社が不動産を売った代金は会社の財産です。株主個人が自由に使える相続資金になるわけではありません。会社から個人への資金の移動まで含めて、税理士等に確認します。
税の評価が下がることと、家計に余裕が生まれることは違う
相続税評価額と市場での売却価格は、目的も計算方法も異なります。評価額を抑えられる場合でも、空室、修繕、金利、管理の負担によって、保有中の資金が不足することはあります。
取得時の試算が残っていれば、前提にした賃料、稼働率、修繕費、借入条件を現在と比べます。税額だけで有利・不利を判断せず、維持するために必要な資金を確認しましょう。
共有持分のある不動産では、利用の状況、賃料の配分、費用負担も整理します。持分だけを売る場合の条件は、不動産全体を売る場合と同じではありません。
会社の株式評価のニュースを、個人の土地へそのまま当てはめない
非上場会社の株式の相続税評価では、会社の規模や株主の立場などに応じて方式が異なります。土地を多く保有する会社に関する取扱いもあります。個人が持つ土地や建物を、すべて同じ方式で評価するものではありません。
2026年10月16日時点で国税庁の有識者会議では、取引相場のない株式の評価が検討されています。会議資料に示された案と、適用開始日が確定した制度は区別する必要があります。
「相続対策が一律に無効になる」「特定の年までに売らなければ損をする」と決めつけず、自分の財産に関係する取扱いと適用時期を確認してください。
保有・改善・売却を、同じ期間で比べる
| 選択肢 | 調べること |
|---|---|
| そのまま保有する | 賃料、空室、管理費、税、修繕予定、返済後に残る資金 |
| 修繕や運営を見直す | 工事費、募集条件、改善までの期間と収入の見込み |
| 売却する | 価格、売却費用、返済、税、引渡し時期、残る資金 |
例えば今後数年の予定を立てるなら、各案を同じ期間で比べます。修繕後に必ず賃料が上がる、売却価格が必ず上がるといった前提にはせず、見込みが外れた場合も考えます。
借入れの元本返済は、手元資金を減らしますが、そのまま所得計算の経費になるわけではありません。資金繰りと税務上の損益を別の表で確認すると、判断しやすくなります。
売却を比べるために、先に集めたい資料
- 取得時の契約書、精算書、相続対策の試算
- 土地・建物の登記、図面、賃貸借契約
- 直近の入出金、管理費、修繕履歴と今後の見積もり
- 借入残高、返済予定表、担保や保証の資料
- 家族や会社で決めている利用・承継の予定
個人が土地や建物を売る場合、課税される譲渡所得は、売却収入から取得費や譲渡費用等を差し引いて計算します。借入れを返した残額が、そのまま課税所得になるわけではありません。会社所有の場合は、法人の取引として確認します。
不動産会社には現状での売却条件を、税理士には保有・売却それぞれの税負担を確認しましょう。売却を決める前でも、比較のために査定を受けることはできます。
売却の進め方を、専門チームに相談する
相続対策で取得した土地・建物や共有持分について、現状で売却できるかを確認したい方はご相談ください。専門チームが、賃貸の状況、権利関係、借入れ、ご希望の時期を伺って買取条件を検討します。
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