底地の利用範囲が昔の借地契約図と合わないときは、現地の塀や通路だけを見て契約の範囲を確定しないことが大切です。登記上の土地の区画、契約で貸した部分、現在使われている場所を別々に記録すると、売却に向けて誰に何を確認するかが見えてきます。
底地の利用範囲と、土地の筆界を区別する
法務局は、土地の筆界と、所有権の範囲を画する線を区別しています。借地人が契約上使える範囲も別の論点です。一筆の土地を部分的に貸しているときは、筆界がわかっても、それだけで契約上の利用範囲が決まるわけではありません。
法務局の地図や地積測量図には地番と作成年を記録し、借地契約書の図面には契約年月と更新・覚書の有無を書き添えます。図面が重ならない箇所だけを抜き出し、同じ縮尺の精密な図であるかのように扱わないことが重要です。
現地で何を確認し、何を推測のまま残すか
塀、境界標らしきもの、通路、駐輪場所などを、確認できる範囲で撮影します。写真には撮影日、立ち位置、向きを記録し、立入りが必要なら事前に了解を得ます。確認できなかった部分は空欄にせず「未確認」と記載します。
塀の位置と現況の通行だけでは、誰がいつ取り決めたかはわかりません。借地人や前所有者から聞いた話は、確認した資料の内容と別欄に置きます。「本人から聞いた」「書面が見つかった」といった違いを残すと次の調査が進みます。

一枚の資料で三つの範囲を見比べる
地番ごとの区画、契約図の着色部分、現在の利用の三層を、色や線の種類を変えて示すと、相談時の説明が容易です。色で示した範囲は自分が整理した参考図と明記し、元の書類も添えます。
食い違いが売却価格や引渡しに影響しそうなら、測量や登記を土地家屋調査士へ、契約解釈や合意の整理を必要に応じて弁護士へ相談します。確認の順番と費用負担は、買主候補と話す項目に入れます。
| 資料 | 何がわかるか | 単独では決められないこと |
|---|---|---|
| 法務局の地図・測量図 | 土地の位置関係や測量の記録 | 借地契約で貸した範囲 |
| 契約書・覚書 | 当事者が書面で示した内容 | 現在の使い方のすべて |
| 現地写真・聞き取り | 撮影時の利用と説明 | 筆界や契約の解釈 |
想定例:契約図にない通路が使われている
古い図では借地の外に見える細い通路を、借地人が長年使っている例を考えます。確認したいのは、何のために通っているか、通路がないと出入りできないのか、口頭や書面の取り決めがあったかです。
既存の利用を変更できると決めつけて売却条件を作ると、後から説明が食い違います。通路の利用状況と今後の確認事項を分けて買主に伝え、条件が固まる前に現地と資料を一緒に確認します。
調査を待つ場合と、先に相談する場合
範囲が固まるまで相談を止める必要はありません。位置の違いが価格や決済にどう関係しそうかを相談し、測量等の完了を条件とする案と、現況と未確定部分を明示して検討する案を比べます。見積もりを受ける際は、前提となる範囲がどちらかを確かめましょう。
よくある質問
塀があれば境界は確定していますか?
塀の位置だけでは判断できません。資料と現地の関係を確認し、必要に応じ専門家へ相談します。
借地人にすぐ利用をやめてもらうべきですか?
現況を一方的に変える前に、契約や経緯を確認し、必要な協議や専門家への相談を進めます。
出典・参考:法務局:筆界と所有権の範囲
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