2026年4月1日施行の改正法により、マンション建て替えの要件が一定の場合に緩和され、建物の更新や一括売却などの仕組みも整いました。ただし、すべてのマンションを4分の3の賛成で建て替えられるわけではありません。制度の条件と、費用・住み替えの見通しを合わせて確認することが大切です。
内容確認・更新:2026年10月16日
建て替えの基本は各5分の4、一定の事情がある場合は各4分の3
建て替え決議の基本となる割合は、区分所有者と議決権の各5分の4以上です。耐震性不足など、法律で定める客観的な事情がある建物では、各4分の3以上へ緩和されます。
対象となるのは、耐震性、火災への安全性、外壁等の剝落、配管設備の腐食等による衛生上の問題、バリアフリーに関する所定の基準です。単に「築年数が古い」「階段が不便」と感じるだけで、当然に要件を満たすわけではありません。
建て替えは、出席者だけを母数とする通常の管理決議と同じ扱いではありません。所在等が不明な区分所有者を母数から除くには裁判所の手続きがあり、管理組合の判断だけで除外することはできません。
修繕・建物更新・建て替え・売却を並べて考える
| 主な選択肢 | 比較するときの着眼点 |
|---|---|
| 修繕・改修で使い続ける | 改善できる部分と残る問題、次の工事までの費用 |
| 建物の更新(一棟リノベーション) | 構造を生かす工事の可能性、専有部分を含む変更、仮住まい |
| 建て替える | 建築できる規模、追加負担、工事期間、再入居の条件 |
| 建物・敷地等を売却する | 売却の対象、分配、退去時期、新しい住まい |
改正法では、建物更新や建物・敷地の一括売却、取壊し等の多数決による仕組みが設けられました。それぞれ必要な決議や事業手続きがあり、同じ方法で進むわけではありません。
一棟リノベーションは、各住戸が自由に内装を変える工事とは異なります。建物の状態と法的な要件を専門家と確認し、実行できる手法を絞り込みます。
建て替えの賛成割合だけでなく、「その建物で何ができるか」を知ることが、話し合いの前提になります。
追加負担だけでなく、仮住まいと再入居後の費用も見る
計画を比べる際は、工事費や事業費に加え、調査・設計、引越し、仮住まい、借入返済、再入居後の管理費等を整理します。どの費用を誰がいつ負担するかまで確認しましょう。
例えば、追加負担額が小さく見える案でも、仮住まいの期間が長くなれば、家賃等の負担が増えることがあります。逆に工事費が高い案でも、改善できる範囲や将来の修繕費は異なります。
将来の販売価格や補助金を見込む場合は、確定している条件と想定を分けます。価格が下がる、工期が延びる等の場合に負担がどう変わるかを聞いておくと、比較の前提が明確になります。
合意形成では、所有者ごとの住まいと負担を把握する
- 1 / 3調べる建物の状態と所有者の意向
- 2 / 3比べる手法・費用・期間・住み替え
- 3 / 3具体化する説明と協議を重ね、決議へ
住み続けたい人、別の場所へ移りたい人、貸している人、相続した空室を持つ人では、必要な情報が異なります。高齢だから話し合いが進まないと一括りにせず、それぞれの希望や負担を具体的に整理します。
説明会では、既に決まった事項と検討中の事項を区別し、質問への回答を共有します。欠席者にも資料が届くようにし、相続等で名義が変わった部屋の連絡先も確認します。
借主がいる住戸では、その権利や住み替えも問題になります。建て替え決議等に伴う賃貸借終了には、補償を含む特別の手続きがあります。所有者間の決議だけで直ちに退去させられるわけではありません。
自分の部屋を売る場合は、再生計画の段階を伝える
マンション全体の再生と、自分が所有する一室の売却は別の検討です。個別に売却する場合は、検討開始、推進の合意、法定の決議、事業実施等、どの段階にあるかを伝えます。
議事録、説明会資料、負担金の通知、長期修繕計画、修繕積立金の状況をそろえ、売主・買主のどちらが費用や手続きを引き継ぐかを確認します。決議済みの事項を、単なる将来の可能性として扱わないようにします。
まだ負担金が分からない場合も、そのまま相談できます。未確定の内容を隠さず共有し、保有を続ける案と売却する案を、生活と費用の両面から比べましょう。
売却の進め方を、専門チームに相談する
建て替えや修繕の話が進むマンション、相続した一室、共有持分の売却についてご相談ください。専門チームが計画の進み具合や管理資料を確認し、買取条件を検討します。
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