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COLUMN

コラム 借地・底地

2026年10月20日

底地を売るか持ち続けるか、家族で話す前に比べたい3つのお金

「毎年地代が入るのに、売るのはもったいない」「でも、この先の管理は誰がするの?」。底地の話で家族の意見が分かれるのは、どちらかが間違っているからとは限りません。片方は収入を、もう片方は暮らしの負担を見ているのかもしれません。

底地を売るか迷ったら、年間の地代だけで結論を出さず、持ち続けた場合の手残り、売った場合に残るお金、近い将来に必要なお金を並べてみましょう。数字をそろえると、「もったいない」の中身が見えてきます。

この記事の要点

底地は「年いくら入るか」だけでなく、売却後の手残り・資金が必要な時期・引き継ぐ管理の負担を同じ紙に並べて比べます。

図解|底地の保有と売却を比べる
1 保有を続ける地代 − 税金・管理費 → 毎年の手残り
2 売却を選ぶ売却代金 − 費用・税金 → まとまった手残り
3 家族の予定と照合必要な時期・管理担当・契約条件で比較

そもそも、家族が持っているのはどんな土地?

底地は、建物を所有するために土地を借りる権利が付いている土地の、所有権を指します。土地は自分のものでも、自由に空き地として使える土地とは違います。

例えば親から土地を受け継いでも、そこに借地人の建物があれば、「来年は自分の家を建てたい」と思うだけでは計画を進められません。家族の話し合いでも、「土地があるから何にでも使える」というイメージを、最初にそろえておきたいところです。

ここでは、地代を受け取りながら貸し続けている底地を考えます。借地契約の内容によって選択肢は変わるので、契約書を手元に置き、分からない点には印を付けておきましょう。古い書類の言葉を、その場で全部理解する必要はありません。

1つ目のお金:地代から支出を引くと、いくら残る?

「年間60万円入る」と「年間60万円使える」は違います。例えば地代が年60万円、土地にかかる税金が12万円、管理を依頼する費用などが6万円なら、差し引きは42万円です。月にならすと3万5,000円になります。

これは比較のための簡単な計算例です。所得税などや借入返済があれば、そこからさらにお金が出ていきます。税金を計算する際の不動産所得と、口座に残る現金も同じではありません。国税庁が説明する所得の計算と、家計で使える金額は分けて考えます。

まずは通帳と領収書で、直近1年の入金と支出を書き出してください。地代が予定どおり入っていない月があるなら、契約上の年額と実際の入金額を別に書きます。予定の収入だけで暮らしの計画を立てないためです。

たまに入るお金は、毎年の生活費に混ぜない

契約に関係する一時的な入金があっても、それが毎年続くとは限りません。通常の地代と分けて記録し、「今年だけ多かった理由」を家族で確認します。

逆に、専門家への相談や書類の確認で、ある年だけ支出が増えることもあります。直近1年が特別な年だったなら、過去数年も見返すと、普段の収支をつかみやすくなります。必要なのは細かな帳簿づくりより、毎年続くお金と、その年だけのお金を混ぜないことです。

比較表|判断に使う条件をそろえる
判断の軸 持ち続ける場合 売る場合
お金の入り方 地代を継続して受け取る 決済時にまとまった代金を受け取る
費用と手間 税金、入金確認、借地人との連絡が続く 売却費用、契約確認、引継ぎが必要
将来の変化 地代・支出・土地の価格が変わり得る 売却後の地代と将来の売却機会を手放す
家族との相談 誰がいつまで管理を担えるか 誰が所有者で、どの条件で意思決定するか

2つ目のお金:売却価格ではなく、売った後の残りを見る

仮に底地の売却見込みが1,000万円だとします。これを年42万円の手残りで割ると、約23.8年分です。ただし、「24年持てば売却額を取り戻せる」と考えるのは早計です。

持ち続ければ将来も土地を保有しますが、売れば所有権を手放します。将来の地代や支出、土地の売却価格も変わる可能性があります。また、今受け取るお金と20年後に受け取るお金では、使える時期が違います。この割り算だけで有利不利は決まりません。

売却側にも、仲介手数料、契約や登記に関係する費用、条件によっては測量費などの支出があります。税金も取得時の事情などで変わります。査定を受けるときは「この価格で売れた場合、何の費用が別に必要ですか」と聞き、税額は取得費などの資料を持って税理士に確認しましょう。

買主側の希望条件も比べます。例えば、資料確認後に価格が変わる提案と、確認を終えて金額が示された提案では、同じ数字でも確かさが違います。「いつ、どの条件が決まるのか」まで聞くと、家族に伝えやすくなります。

3つ目のお金:家族が必要とする時期に間に合う?

毎年の収入を残したい家族と、まとまった支出を控える家族では、同じ底地への評価が変わります。例えば年42万円を生活費の一部に使えるなら、貸し続ける意味があります。一方、数年以内の住み替えなどでまとまったお金が必要なら、毎年の地代だけでは間に合わないかもしれません。

ここで話し合いたいのは「土地は残すべきか」という大きな問いより、「何年後に、何のために、いくら必要か」です。金額をまだ決められなければ、「すぐには使わない」「3年以内に使う可能性がある」からでも始められます。

売却までの期間も一律ではありません。買主が決まる時期や契約確認の進み方によるため、支払い直前まで待つより、早めに売却の見通しを聞いておくと選択肢を持ちやすくなります。相談したから、その日に売却を決めなければならないわけではありません。

お金に換算しにくい「誰がやるか」も、一緒に書く

地代の入金確認、書類の保管、借地人からの連絡、税金の支払い。今は親が自然にこなしている仕事も、引き継ぐ人が決まらなければ負担になります。

例えば近くに住む家族だけが連絡対応をしている場合、「地代は入るから残そう」という結論に、その人の時間が含まれていないことがあります。月に何度連絡するのか、現地に行く必要があるのかを、実際に担当している人に聞いてみてください。

管理を外部に依頼する案もあります。その場合は費用だけでなく、何を任せられ、何は所有者が判断するのかを確認します。「管理を任せれば全部終わる」と思い込まず、任せた後の家族の役割まで見通せると、保有を続ける判断もしやすくなります。

家族会議は、結論を出す日と資料を集める日を分ける

最初の話し合いで売却の賛否まで決めようとすると、数字が足りないまま気持ちだけがぶつかりがちです。1回目は、地代の年額、税金などの支出、管理担当、今後の資金予定を出すところまででも十分です。

2回目までに、売却の見込みと費用、保有を続ける場合の管理費用を確認します。そして、「この条件なら持ち続けたい」「この負担が残るなら売却も考えたい」と、判断の条件を言葉にします。

「先祖からの土地だから」という思いも、大切な判断材料です。それを否定して収支だけで押し切る必要はありません。残したい理由と、負担になっている事実を別々に聞くことで、話が進む場合があります。

不動産会社には、迷っている理由まで伝える

相談では、所在と契約書に加え、「収入は残したいが管理の引継ぎが難しい」「まとまった資金が必要になる時期がある」と伝えてみてください。売れる金額だけを聞くより、希望に合う条件を話しやすくなります。

仲介会社から案件を相談する場合も、所有者が価格を優先するのか、引渡し時期を優先するのかを添えると、買取条件の検討につながります。未確認のことは未確認と書けば十分で、推測で契約内容を埋める必要はありません。

株式会社SAの視点:契約と収支をつなげると、査定の話が具体的になる

底地の相談では、地代の合計だけでなく、その入金がどの契約に対応しているかまで分かると検討しやすくなります。複数の借地人がいる土地なら、区画ごとに契約書、月額地代、直近の入金、敷金等の預り金、連絡状況を並べてみてください。合計額は合っていても、一部に未入金があるケースを見落としにくくなります。

名義と連絡相手が違う場合や、古い契約書しかない場合は、その違い自体を相談材料にします。分からない事情を推測で埋めるより、「ここまで確認できている」と示す方が、追加で必要な調査を決めやすくなります。契約の種類・期間・更新や一時金の取扱いも、同じ地代の底地を比べるうえで確かめたい項目です。

買い手によっても検討の出発点は異なります。借地人自身への売却なら、購入の意向や資金計画を確認するところから。第三者への売却なら、引き継ぐ契約と管理の内容を伝えるところから始まります。どちらが必ず高いとは決めつけず、金額、調査の条件、支払時期、引継ぎ事項をそろえて比べます。

家族全員が話合いに参加していても、意思決定に関わる所有者が誰かは登記で別に確かめます。底地全体の売却を相談するのか、自分の共有持分だけを相談するのかでも検討が変わります。家族の希望と権利関係を一つの話に混ぜずに伝えることが、相談の行き違いを減らします。

数字・運用例で確かめる
年間の比較例 収入 支出 差引額
現在の収支 地代60万円 税金12万円+管理等6万円 42万円
管理を増やす場合 地代60万円 税金12万円+管理等12万円 36万円
入金が一部遅れる年 入金54万円 税金12万円+管理等6万円 36万円

いずれも所得税等・借入返済・臨時支出を入れる前の例です。年36万円が5年続けば180万円、年42万円なら210万円。差額30万円だけでなく、5年後にも土地を保有していることと、その時点の価格が未確定であることを併せて考えます。

判断が分かれやすい疑問

底地を売るか迷う段階でも査定を頼めますか?

売却の意思を固める前でも、保有と売却を比べるために条件を聞けます。必要な資金の時期や管理で困っていることも伝えると、金額以外の判断材料が集まります。

地代の何年分という計算で売り時は決まりますか?

決まりません。将来の収支、土地を保有し続ける価値、売却費用や税金、管理の負担が抜けるためです。年数の割り算は比較の入口にとどめます。

迷ったままでも、比べることはできる

底地を売ることも、持ち続けることも、それ自体が正解ではありません。家族が使えるお金、必要になる時期、引き受けられる管理の負担が、選び方を変えます。

まずは紙1枚に「年間の手残り」「売却後の手残りの見込み」「お金が必要になる時期」を並べてみてください。その横に管理担当を書き添える。大きな決断は、その小さな比較から始められます。

あわせて読みたい:底地売却の地代・敷金はどう引き継ぐ?決済前にそろえる入金と精算の記録

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