相続したマンションを売ろうとしているときに「価格が下落」というニュースを見ると、今の売出価格では高すぎるのかと気になります。
先に答えると、ニュースの下落率を、そのまま自分の家の値下げ率にする必要はありません。確かめたいのは、似た部屋がいくらで売れ、あなたの部屋にはどんな反応が来ているかです。
平均価格の下落だけで値下げを決めず、取引事例・募集の反応・売却期限を重ねて判断します。共有物件では、家全体と持分だけの売却を最初に分けます。
中古マンション価格が、首都圏で前年同期を下回った
R.E.portが2026年10月19日に伝えた東日本不動産流通機構の7〜9月の集計では、首都圏の中古マンションの平均成約価格は5,172万円。前年同期比2.7%下落し、前年同期を下回るのは56四半期ぶりとされています。
これは実際に売買が成立した物件を集めた数字です。すべてのマンションが一律に2.7%値下がりした、という意味ではありません。また、この1回の集計から今後の下落が続くとまではいえません。
「首都圏の平均」と「実家の売れる価格」は別の話
例えば、ある期間に広い部屋が多く売れ、次の期間は小さな部屋が多く売れれば、同じ条件の部屋の値段が動かなくても、1件当たりの平均は変わります。これは平均の読み方を説明する例で、今回の下落原因を示すものではありません。
相続した家の価格を考えるなら、駅からの距離、広さ、築年数が近い部屋から比べます。同じ建物の取引があれば参考になりますが、階数、日当たり、室内の状態、管理費や修繕積立金の負担も見比べたいところです。
不動産会社には「周辺の相場はいくらですか」だけでなく、「どの成約事例と比べましたか。違う条件は、どう価格に反映していますか」と聞いてみてください。答えの根拠が見えると、値下げの話も具体的になります。
| 比べる売り方 | 判断に使う資料 | 確認したい条件 |
|---|---|---|
| 価格を維持して募集 | 内覧・問合せの件数と近い成約事例 | 待つ期間と追加の維持費 |
| 価格や募集条件を変更 | 見送られた理由、競合物件の条件 | 値下げ以外に改善できる箇所 |
| 買取を検討 | 買取価格、費用、引渡し条件 | 売買代金から何が差し引かれるか |
| 自分の持分だけを売却 | 登記、居住状況、共有者との関係 | 物件全体の価格との混同を避ける |
内覧がないのか、内覧後に断られるのか
売れない理由は、価格だけとは限りません。例えば広告の写真が少なく、間取りも読みにくければ、部屋の良さが伝わる前に候補から外れるかもしれません。残した家具で広さが分からない場合もあります。
まず不動産会社に、問い合わせ件数、内覧件数、見送った理由を聞きます。「反応が弱いですね」で終わらせず、どの段階で止まっているかを確かめるのです。
問い合わせ自体が少なければ、価格と掲載内容を一緒に見直す。内覧はあるのに申込みがなければ、室内の印象や毎月の負担など、実際に聞かれた内容を振り返る。これなら、価格を変えるにしても理由を持てます。
先に決めたいのは、いつまで待てるか
例えば月3万円の管理費などがかかる部屋なら、半年で18万円です。ここに固定資産税や現地へ通う交通費が加わることもあります。売出価格を保つことと、手元に残るお金を守ることは、必ずしも同じではありません。
「あと半年待てる」「転居までに手放したい」など、希望する時期を伝えましょう。そのうえで、今の価格で販売を続ける案、条件を変える案、買取を含め早めに売る案を比べます。買取なら必ず高く売れるわけではないため、金額だけでなく引渡し時期や片付けの条件も確認します。
自分の持分だけを売る場合は、比較の出発点が変わる
きょうだいと共有している部屋なら、マンション全体を売る話なのか、自分の持分を売る話なのかを最初に分けて伝えてください。持分だけの売却では、買主が取得する権利や使い方が異なります。部屋全体の相場を単純に持分割合で割っても、そのまま売却価格にはなりません。
株式会社SAの視点:査定額より、価格が変わる理由をそろえる
同じ物件に複数の査定額が付いても、高い額だけを選べば納得できるとは限りません。査定は売買が成立した価格ではなく、どの条件で売るかを考える出発点です。提示額の違いが、参考にした取引の違いなのか、販売期間の想定なのか、室内や権利関係の確認不足なのかを分けて聞きます。
例えば仲介での募集価格と、買取会社が示す購入価格は、数字の意味が違います。前者には買主を探す期間や交渉の余地があり、後者も調査前の概算なのか、確認を終えた条件提示なのかで扱いが変わります。「いくらですか」に加え、「何が分かると金額が変わりますか」を確認すると比較が進みます。
共有持分の相談では、登記上の持分、実際に住んでいる人、利用・費用負担についての取決めをそろえます。現地確認ができていない部分は未確認と明記してください。相場の下落と、取得後にどのように利用できる権利なのかは別の論点であり、どちらも価格判断から落とせません。
| 比較例 | 6か月後までの金額 | まだ計算に入っていないもの |
|---|---|---|
| 今売る案:代金3,000万円 | 3,000万円 | 売却費用・税金 |
| 待つ案:代金3,020万円、維持費月3万円 | 3,020−18=3,002万円 | 売却費用・税金・追加修繕・売れない可能性 |
売却代金が20万円高くても、6か月の維持費を引くと差は2万円。両案とも売れると仮定した単純比較で、待てば3,020万円になるという予測ではありません。引渡し条件や費用もそろえて初めて比較できます。
判断が分かれやすい疑問
中古マンション価格が下落したら、売出価格も同じ率で下げるべき?
一律に合わせる必要はありません。似た成約物件と比べた割高感、募集への反応、売却期限を確認し、変更する理由を具体的にします。
共有持分の売却でも、マンション全体の査定を使えますか?
地域相場の参考にはなりますが、その金額を持分割合で割っただけでは判断できません。取得する権利と実際の利用状況が異なるため、持分として条件を確認します。
値下げを決める前に、3つだけ聞いてみる
「似た部屋はいくらで成約したか」「今の募集で何件の反応があったか」「希望する期限までに、どんな選択肢があるか」。この3つが分かれば、ニュースの見出しに急かされずに判断できます。
相場が気になったときこそ、平均の数字から一度離れて、自分の部屋と売却条件に戻る。そのひと手間が、納得できる売り方を選ぶ助けになります。
迷っている段階から、ご相談ください
「売ると決めていない」「契約書を全部そろえられない」。そんな段階でも、まずは今分かることからお聞かせください。株式会社SAの訳あり不動産専門チームが、共有持分・底地などの買取について、物件とご希望を確認します。
