空き家売却の控除を考えるときは、その家をどう取得し、誰が住んでいたかを確認します。相続した実家と、自分が以前住んでいた家では、使える特例や期限が異なります。控除額だけを見て判断せず、売却前に条件と必要書類を確かめましょう。
内容確認・更新:2026年10月16日
空き家売却の控除は、家の取得・利用の経緯から確認する
| 家の経緯 | 確認する主な特例 | 最初に調べること |
|---|---|---|
| 親が住んでいた家を相続 | 被相続人の居住用財産の特例 | 建築時期、相続前後の利用、取得した人 |
| 自分が住んでいた家が空き家に | マイホーム売却の特例 | 住まなくなった日、売却日、他の特例 |
| 投資用・賃貸用などの家 | 上記の特例に当然には該当しない | 取得費、利用の経緯、適用可能な制度 |
どちらも「3,000万円控除」と呼ばれることがありますが、同じ制度ではありません。控除は、原則として売却による利益から一定額を差し引く仕組みで、3,000万円が支給されるわけではありません。
自分が以前住んでいた家の特例では、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ることなどが条件です。取り壊した土地の売却には、解体後の利用や契約時期の条件もあります。
相続した実家の特例で確認したい条件
相続空き家の特例は、一定の要件を満たすと最高3,000万円を控除できます。2024年以後の売却で、対象の家屋と敷地等を相続・遺贈で取得した相続人が3人以上の場合は、最高2,000万円となります。
- 1981年5月31日以前に建築され、区分所有建物登記がされていない家屋か
- 原則として相続直前に亡くなった方が一人で住んでいたか
- 売主が対象の家屋と敷地等を相続等で取得しているか
- 相続後に住む・貸す・事業に使うなど、要件に反する利用をしていないか
- 売却額、売却相手、他の特例との関係を満たすか
老人ホーム等へ入所していた場合も、一定条件で対象になります。売却代金の1億円以下という条件は、他の相続人による売却等を合算する場合があるため、自分の受取額だけで判定しないようにします。
売却期限は、相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までです。2026年10月時点の制度の適用期間は2027年12月31日までであり、両方の期限を確認します。
売却後の耐震改修・解体で対象になる場合もある
耐震性がない家でも、必ず売却前に改修・解体を終えなければならないとは限りません。2024年以後の売却では、売却した年の翌年2月15日までに、一定の耐震基準を満たす改修や家屋全部の取壊しを行い、ほかの要件も満たせば対象になる場合があります。
国土交通省は、この方法を利用する場合の売買契約の特約等に用いる文言例も公表しています。買主が工事を行うなら、工事の内容・期限、完了確認と書類の受渡しを契約前に調整することが大切です。
これは売却時の譲渡所得に関する特例です。住んでいる住宅の耐震改修に関する税額控除と混同し、「空き家を売るために工事すれば別の控除も自動で上乗せできる」と考えないようにしましょう。
控除を利用できる見込みがあっても、工事費や売却条件によって手取りは変わります。工事をして売る案と、買主が工事を行う条件の案を、税額だけでなく総額で比較してください。
税率は所有期間で変わる。取得費の資料も探しておく
課税対象の譲渡所得は、原則として売却収入から取得費・譲渡費用・適用できる特別控除を差し引いて計算します。以下は通常の税率で、軽減税率など別の特例は含みません。
| 売却年1月1日時点の所有期間 | 所得税・復興特別所得税 | 住民税 | 合計 |
|---|---|---|---|
| 5年超:長期 | 15.315% | 5% | 20.315% |
| 5年以下:短期 | 30.63% | 9% | 39.63% |
相続した土地・建物では、原則として亡くなった方の取得時期・取得費を引き継ぎます。相続してすぐ売っただけで、必ず短期譲渡になるわけではありません。
取得費が分からない場合や、実際の取得費が売却額の5%より少ない場合は、売却額の5%を概算取得費とする方法があります。領収書の有無だけで結論を出さず、購入時の契約書や代金の資料を探しましょう。建物の取得費には減価償却の計算も必要です。
控除で税額がゼロになる場合も、申告の準備が必要
特例を使って税額がゼロになる場合も、その特例の適用を受けるための確定申告が必要です。売却が終わってから書類を探すのではなく、契約前から用意するものを確認します。
- 取得時と売却時の契約書、費用の領収書等
- 登記、相続、建築時期、利用状況を確認する資料
- 相続空き家の特例では、市区町村の被相続人居住用家屋等確認書
- 売却方法に応じた耐震基準の証明や取壊しを示す資料
- 譲渡所得の内訳書など、適用する特例に必要な申告書類
市区町村の確認書が出ただけで、特例の適用が確定するわけではありません。税務署や税理士へ全体の要件を確認し、必要な書類と申告期限を整理してください。
- 1 / 3経緯を確認誰が住み、いつ取得・退去・相続したか
- 2 / 3条件を合わせる特例の期限、工事、書類を契約前に確認
- 3 / 3申告を準備代金と費用を集計し、必要書類を提出
売却の進め方を、専門チームに相談する
相続した空き家を、改修・解体してから売るか、現状で売るか迷っている方はご相談ください。専門チームが買取価格と引渡し条件を整理します。税の特例の確認に必要な売却条件も、契約前にすり合わせましょう。
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