入居者のいる物件でも、賃貸を続ける前提で売却を検討できます。「売りたいので退去してもらう」と決める前に、入居中の売却と、合意や必要な手続きを経て空室にする方法を比較しましょう。立ち退きは、家主の都合だけで当然に求められるものではありません。
内容確認・更新:2026年10月16日
売却と立ち退きは、分けて検討できる
| 売り方 | 検討する点 |
|---|---|
| 入居中のまま売却 | 賃貸契約、家賃、修繕、敷金等を確認して引き継ぐ |
| 退去後に売却 | 退去に至る手続き、費用、時期、空室後の状態を確認 |
| 一部が空室のまま売却 | 部屋ごとの契約・収支・管理状態を整理 |
投資用物件では、入居中であることが収入の見込みにつながる場合もあります。一方、自分で住む買主や建て替えを予定する買主には、引渡し時の利用状況が大切です。
空室にすれば必ず高く売れるとは限りません。立退きにかかる費用、空室期間の家賃減少、修繕費、売却までの時間を含めて比較してください。
普通借家では、更新拒絶や解約に正当事由が必要
普通借家契約で貸主から更新を拒絶したり解約を申し入れたりする場合、所定の通知だけでなく、正当事由が必要です。貸主・借主が建物を必要とする事情、これまでの経緯、建物の利用や状態、立退料の申出等が総合的に考慮されます。
建物が古い、売却したい、通知から6か月たった、という一つの事情だけで退去を強制できるわけではありません。建て替えが必要な場合も、危険性や修繕の状況、借主の事情を確認します。
家賃滞納等による契約解除は、貸主都合の更新拒絶とは別の問題です。未払の期間や経緯、催告、信頼関係等を踏まえて判断するため、単に「滞納が一度あったので退去」とは扱わないでください。
定期借家でも、契約書の表題だけで退去日を決めない
有効な定期借家契約は、更新せず期間満了で終了する仕組みです。ただし、契約締結時の説明等の要件を満たしているかを確認する必要があります。
契約期間が1年以上なら、原則として満了の1年前から6か月前までに終了の通知が必要です。通知が遅れた場合は、その通知から6か月が経過するまで終了を借主に主張できません。
売却契約で空室の引渡日を約束する前に、賃貸借の種類と終了条件、通知の実施状況を確認します。再契約の合意がある場合も含め、借主との連絡を記録してください。
立退料には、家賃何か月分という一律の基準はない
立退料は、正当事由を補う事情の一つです。金銭を提示すれば必ず退去してもらえるわけではなく、法律で全国一律の計算式が決められているものでもありません。
合意を目指す場合は、移転先の確保、引越し、事業用なら営業への影響等、相手の具体的な事情も踏まえて検討します。総額だけでなく、支払時期と明渡し、残置物、敷金精算の関係を整理します。
合意がないのに鍵を替える、荷物を処分する、電気や水道を止めて退去を迫る、といった対応は避けてください。争いがある場合は弁護士へ相談し、必要な裁判や執行の手続きを確認します。
入居中に売却するなら、契約とお金の引継ぎを明確にする
- 賃貸借契約書、更新・変更の合意、保証に関する資料
- 家賃の入金履歴、未払、前受金、敷金等の明細
- 修繕履歴、入居者への約束、管理会社との契約
- 退去や明渡しについての合意・通知・相談の記録
借主が賃借権を買主に主張できる場合は、原則として所有権の移転に伴い賃貸人の地位も移り、敷金返還等の義務を引き継ぐことになります。売主・買主の間では、敷金等の金銭の精算方法も決めます。
売却前に生じた滞納家賃が、所有権の移転だけで当然にすべて買主へ移るとは限りません。誰が請求するか、債権を譲渡するか、保証会社の対応等を個別に整理します。
- 1 / 3契約普通借家・定期借家・合意
- 2 / 3収支家賃・敷金・修繕・未払
- 3 / 3対応入居継続・退去予定・紛争
SAへ相談する際も、入居者への対応状況と未解決の点を伝えてください。買取の相談と、紛争についての法律上の代理・交渉は役割が異なり、必要に応じて弁護士等への相談を進めます。
売却の進め方を、専門チームに相談する
入居者のいるアパート・貸家や、退去の時期が決まっていない物件の売却についてご相談ください。専門チームが賃貸契約と現状を確認し、入居中の買取を含めて検討します。
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