小規模宅地等の特例は、条件を満たす宅地等について、相続税の計算に使う価額を減額する制度です。実家の敷地では、取得する人や居住の状況によって条件が変わります。「別居しているから必ず使えない」「同居していれば必ず使える」と決めず、売却前に確認しましょう。
内容確認・更新:2026年10月16日
小規模宅地等の特例の「80%減額」は、何が減る?
特定居住用宅地等に該当する場合、330㎡までの部分について、相続税の課税価格に算入する価額を80%減額します。相続税そのものが一律に80%減るという意味ではありません。
対象は宅地等であり、実家の建物や預金まで一律に8割引きになるわけでもありません。事業用・貸付事業用などには、別の限度面積や割合、要件があります。
例えば、対象部分の特例適用前の価額が4,000万円で、すべての条件を満たすなら、その部分は計算上800万円になります。これは土地の価額の説明であり、納税額の試算ではありません。
実家を取得する人によって、条件が違う
| 取得する人 | 主な確認事項 |
|---|---|
| 亡くなった人の配偶者 | 取得者ごとの居住・保有継続要件はない。ただし、対象の宅地や申告等の条件は確認 |
| 同居していた親族 | 相続開始直前から申告期限までの居住と、申告期限までの保有など |
| 同居していない親族 | 配偶者・同居相続人の有無、過去の住まいの所有関係、申告期限までの保有など |
別居親族について、一般に「家なき子」と呼ばれる取扱いがありますが、自分名義の家がないだけでは判断できません。配偶者や親族、一定の関係会社が所有する家に住んでいたか、現在の住まいを以前に所有していたかなど、複数の条件があります。
住民票を移すだけで居住の実態を満たすわけではありません。誰が、いつ、どこで生活していたかを資料とともに確認します。
親が施設に入っていた場合も、すぐ対象外とは限らない
要介護・要支援認定等や入所施設などの条件を満たす場合、施設入所前の自宅敷地が対象となることがあります。
入所後に家をどのように使っていたかも確認事項です。事業に使ったり、新たに一定の人以外が住んだりしている場合などは、取扱いを確認する必要があります。
認定や入所の資料、家の利用状況、家族の住まいの経緯をまとめ、税理士へ相談してください。「空き家になっている」という事実だけでは結論は出せません。
申告期限前の売却は、特例の条件と照合する
同居親族や一定の別居親族が取得する場合、申告期限までの保有等が要件となります。納税資金をつくるための売却であっても、先に売ると特例を使えなくなる可能性があります。
一方、配偶者には取得者ごとの保有継続要件がありません。同じ「実家の売却」でも、取得する人によって確認する内容は異なります。
特例を適用した場合と適用しない場合の税額、売却時期、入金予定を並べて確認します。査定を受ける段階と、契約・引渡しを進める段階を分け、必要な要件を確認してから日程を決めましょう。
税額がゼロになる場合も、申告を確認する
特例を使った結果として税額がゼロになる場合でも、特例の適用には相続税の申告と一定の書類の添付が必要です。申告の要否を、特例を使った後の金額だけで判断しないようにします。
申告期限に対象の土地が未分割なら、原則としてその時点では特例を適用できません。ただし、「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付して申告し、期限後に分割するなど、条件を満たすと適用できる場合があります。
更正の請求や、分割が遅れる場合の承認申請にも期限があります。家族の協議を待つだけで申告期限を過ごさず、税理士へ必要な手続きを確認してください。
相談時に、居住の経緯と取得する人を伝える
- 亡くなった人と家族の住まい・転居の経緯
- 施設入所や要介護・要支援認定等の資料
- 土地と建物の登記、賃貸や事業利用の有無
- 遺言書・遺産分割の状況と、取得する予定の人
- 売却や転居の希望時期、納税資金の見通し
税の特例が使えるかと、実家を今後どうするかは、関連しますが同じ問題ではありません。管理を続ける費用や家族の生活も含めて検討しましょう。
売却の進め方を、専門チームに相談する
実家の売却を検討している方は、特例の確認状況と希望する引渡し時期をお伝えください。専門チームが物件の状態を伺い、税理士等と確認する日程を踏まえながら買取条件を検討します。
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